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「iPhone 7」、IntelのLTEチップを採用かIntel無線事業のカンフル剤となるのか

Appleの次期スマートフォン「iPhone 7」(仮称)に、Intelのベースバンドチップが採用される可能性があるという。これが本当であれば、Intelは、スマートフォン向けモデム市場でシェアを大きく伸ばすこともあり得る。

» 2016年06月15日 09時30分 公開
[Rick MerrittEE Times]

「iPhone 7」にIntelのベースバンドチップが?

「iPhone SE」

 IntelのLTEベースバンドチップが、Appleの「iPhone 7」(仮称)に搭載される可能性があるとする臆測は、以前から飛び交っている。これが事実であれば、Intelが、スマートフォン向けモデムのサプライヤーとして、世界第3位の地位を獲得する可能性がある。

 Intelは2016年4月に、大規模な人員削減を発表し、アプリケーションプロセッサの生産量を削減しているが、もし本当にAppleにベースバンドチップが採用されることになれば、Intelの無線事業部門にとっては強力なカンフル剤となるだろう。

 Bloombergが、匿名筋やウォールストリートのアナリストからの情報として伝えたところによると、Intelは、AT&Tが使用するiPhone 7向けとして、2000万個を超えるLTEチップを提供する予定だという。米国の市場調査会社であるForward Conceptsでプレジデントを務めるWill Strauss氏によると、この取引が実現すれば、Intelのスマートフォンモデム市場における位置付けは、2015年には3社同点で第6位だったが、2017年には第3位に浮上する可能性があるという。

 Strauss氏によれば、2015年のスマートフォン向けベースバンド市場において首位を獲得したのはQualcommで、出荷数量が13億個、全体に占めるシェアは57%だったという。第2位はMediaTekで、シェアが25%、第3位はSpreadtrum Communicationsで6%、第4位はSamsung Electronicsで3%、第5位はHuaweiで2%だった。Huaweiのベースバンドチップは、同社の半導体子会社であるHiSilicon Technologyが、Huaweiの携帯電話機専用として提供しているため、一般市場向けには販売されていない。そして第6位は、IntelとLeadcore、Marvell Technology Groupの3社で、シェアは1%だった。

実質的に確定か

 Strauss氏は、「Qualcommやアジアのサプライチェーン、アナリストたちが示した兆候から、AppleとIntelの取引は実質的に確定しているのではないかとみられる。Intelは2017年に、ベースバンドチップの出荷数量でSpreadtrumを追い抜き、第3位の座を獲得するだろう。また、最先端のLTEチップの平均販売価格(ASP)が全体的に高止まりしていることから、売上高では第2位を獲得するのではないか」と述べている。

 今回、臆測の対象となっているのは、AppleがAT&Tに販売している一部のiPhone機種である。これは、AT&TがVerizonとは異なり、自社ネットワーク上でCDMAをサポートしていないためだ。IntelのプロセッサはCDMAをサポートしていない。

 半導体チップをセカンドソーシングしている機器メーカーは数多く存在するが、Appleも、数社の競合企業との間で最低価格をめぐり交渉を行っていることから、そのうちの1社だといえる。例えば同社は、iPhoneに搭載するアプリケーションプロセッサ「Aシリーズ」の製造で、Samsung ElectronicsとTSMCを利用している。

 Qualcommのチーフエグゼクティブは2016年初めに、投資家たちに向けて、「主要顧客向けのベースバンドチップ市場を競合との間で分割しなければならない可能性がある。当社にとっては大きな痛手となるかもしれないが、現在では欧米のスマートフォン市場が減速していることから、自動車をはじめとする他のさまざまな市場への進出が可能になるだろう」と述べている。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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