今、ちまたをにぎわせているAI(人工知能)。しかしAIは、特に新しい話題ではなく、何十年も前から隆盛と衰退を繰り返してきたテーマなのです。そしていまだに、その実態はどうも曖昧です。本連載では、AIの栄枯盛衰を数十年見てきた私が、“AIの彼方(かなた)”を見据えて、AIをあらゆる角度から眺め、検証したいと思います。果たして“AIの向こう側”には、中堅主任研究員が夢見るような“知能”があるのでしょうか――
今、ちまたをにぎわせているAI(人工知能)。しかしAIは、特に新しい話題ではなく、何十年も前から隆盛と衰退を繰り返してきたテーマなのです。にもかかわらず、その実態は曖昧なまま……。本連載では、AIの栄枯盛衰を見てきた著者が、AIについてたっぷりと検証していきます。果たして“AIの彼方(かなた)”には、中堅主任研究員が夢見るような“知能”があるのでしょうか――。⇒連載バックナンバー
――人工知能(AI)? よりによって何で今さら、そんなものを?
2016年1月、「世界を『数字で』回してみよう ダイエット編」の連載と、EtherCATの連載が、ほぼ同じ時期に終了することもあって、私は、当時赤坂にあったEE Times Japan編集部を訪問して、次の連載についての打ち合わせをさせていただきました。
当初、「鉄道人身事故」連載については、編集部の方も難色を示されていたようですが、私の強い希望で、最終的にGOサインをいただきました。
問題は、EtherCATの後の連載でした。EE Times Japan編集長のTさんと担当編集のMさんからオファーをいただいたのが「人工知能の連載」だったのです。
ここで冒頭の「よりによって何で今さら……」に戻るわけです。
――『今さら』って、(江端の)提案書に書いてあるじゃんか……
という顔をしているお二人の顔を見て、ふと、私の提案資料に目を落すと、
うん、これは私が悪い。自分で提案しているんだから。
「今回は、『英語に愛されないエンジニア』 セカンドシーズン」で決まりだと勝手に決めつけていた私も悪いのですが――しかし、私が驚いたのも無理はなかったのです。
私のG-mailのボックスにあるメールのうち、「人工知能」という文字が含まれているものは実に996通。そのうち、最新の100通は、ここ25日間に受け取ったものです(つまり一日平均4通来ている)。
今や、「人工知能」と名のついた、コラム、エッセイ、技術評論、講演は、佃煮のように、毎日掲載され、実施されているのです。
そんなご時世にあって、一体、私に何を書け、と?
江端:「私が、"人工知能"について語ったら、EE Times Japanさんのところで掲載されている『人工知能』の記事とバッティングしますよ」
Tさん:「江端さん、私たちは、江端さんに人工知能を解説して欲しいんじゃないんですよ。『江端さんの(中にある)"人工知能"』を書いて欲しいんです」
なるほど、そういうことか。
私は、「英語に愛されないエンジニア」シリーズで、「英語」崇拝者やTOEIC原理主義者に、正面からけんかを売ったと自負しております。
EE Times Japan編集部は、それと同じことを「人工知能」でも期待している……うむ、その意気やよし――と、私は勝手に納得しました。
江端:「分かりました。この連載、お引受けさせていただきます」
と申し上げたのが、2016年の1月末。
そこから、すったもんだあって(EtherCATの記載量が多すぎて2回分になったり、追加のご要求があったり、お休み頂いたり、と、そんなことしている間に)、いつのまにか、夏本番に突入してしまいました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.