車載向け電源IC事業を強化しているトレックス・セミコンダクターは、大阪府吹田市に車載向け製品開発/技術サポート拠点を開設し、本格稼働を開始した。車載ビジネス拡大に向けた中核拠点と位置付け、これまで国内各地に点在した車載用製品開発サポート機能を1カ所に集約、増強した。
トレックス・セミコンダクターは、車載用半導体事業強化の一環として「関西技術センター」を新設し、本格稼働を開始した。これまで日本各地に点在していた車載向け半導体製品開発、生産技術開発、品質保証の3機能を同技術センターに集約。車載市場における開発から販売/サポートまでの事業スピードを向上させる。
電源ICを主力とするファブレス半導体メーカーのトレックスは、2010年頃から主力の民生機器向けに加えて、産業機器、車載機器、医療機器向けの電源IC市場に本格参入した。車載向けビジネスでは、それまで民生機器向けに展開してきた小型、高効率を特長にした電源ICをカーナビゲーションシステムなどインフォテインメント領域を中心に展開し、採用数を着実に増やしてきた。その結果、2015年3月期の車載機器向け売上高は、全社売上高の12.4%に相当する約13億円にまで達した。
同時にこの間、車載用途に特化した新製品開発を進め、車載カメラモジュールなど先進運転支援システム(ADAS)やボディー系車載機器へのデザインイン活動を実施。同社取締役執行役員で事業本部長を務める木村岳史氏は「2017年から、ADAS、ボディー系への量産出荷が立ち上がる見通し」という。
一般的に、ADAS/ボディー系は、インフォテインメント領域よりも、高い信頼性、品質が要求される。それに従い、技術サポートもより高度な技術レベルで、かつ、迅速な対応が求められる。
木村氏は「一層、車載向けビジネスを拡大するため、車載品質の新製品開発を加速させる方針。特にこれまでの低耐圧製品だけでなく、60V動作品など中高耐圧製品のラインアップを急ぐ予定だ。量産が始まるADAS/ボディー系製品のサポート体制強化と併せて、製品開発を加速させるために『関西技術センター』を開設した」という。
関西技術センターは、これまで大阪市の新大阪駅近くにあった関西支店/関西開発センターを移転する形で、2016年4月に大阪府吹田市・江坂に開設。従来の関西開発センターは、車載向け製品の開発機能を担っていたが、新設の関西技術センターでは、製品開発以外にも、品質保証と生産技術開発の機能も担う拠点とした。
車載向けビジネスを担当する山崎英正氏は、「これまで品質保証機能は札幌、生産技術開発は岡山といった具合に、各地に点在していた。今回、車載向け製品に関わる製品開発、品質保証、生産技術開発の機能を、自動車/電装品メーカーが多い中京・関西・中国地区の営業を担当する関西支社と併設の関西技術センターに集約し、あらゆる面でのスピードアップを図った」と技術センター開設の狙いを説明する。
関西支社兼関西技術センターの建屋は、延床面積840m2の3階建て。1階部分に“技術センター”としての機能を持たせ、試作品実験設備、信頼性試験装置、解析設備が並ぶ。クラス1万のクリーンブースも備える。
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