Intelが、「Kaby Lake」のコード名で開発してきた第7世代Coreプロセッサを正式に発表した。14nm+プロセスを適用したもので、ビデオエンジンが改良されている。同プロセッサを搭載した製品は、2016年秋にも登場するとIntelはみている。
Intelは、第7世代Coreプロセッサ(開発コードネーム「Kaby Lake」)を公式に発表した。14nmプロセスの改良版である「14nm+」プロセス技術を適用し、4Kビデオ機能が強化された。Intelは「ムーアの法則」を拡大解釈して、1つのプロセスノードを複数世代のチップに適用する方針のようだ。Kaby Lakeは、その方針を初めて適用した製品となる。
Kaby Lakeは、14nmプロセスと比べて性能が12%向上する。また、メディアエンジンが改良され、VP9ビデオのデコードと、4K HEVC 10-bitビデオのデコードおよびエンコードなどをサポートする。アーキテクチャは、x86パイプラインを含め前世代の「Skylake」と同じだという。
Intelは、製造プロセス技術の微細化とマイクロアーキテクチャの刷新を毎年、交互に繰り返す「Tick-Tock」戦略を採用してきた。Kaby Lakeは、この開発戦略を適用しない初めての事例となる。ムーアの法則の継続がますます複雑でコストが掛かるようになっていることに加え、PC市場も低迷していることから、Intelは1つのプロセスを3年にわたって3つのファミリーに適用する方針を決めた。
14nm+プロセスはトランジスタレベルでは、フィンを高くした他、ゲートピッチやインターコネクト速度、アスペクト比の改善によって、12%の性能向上を実現した。Intelは同社の開発者向け会議「Intel Developer Forum(IDF) 2016」(米国カリフォルニア州サンフランシスコ、2016年8月16〜18日)で、次世代プロセスの10nmノードを3世代の製品ファミリーに適用する計画を明らかにしている。
Kaby Lakeはシステムレベルでは、画像の閲覧や編集速度が19%向上する。ゲーム用にフレームレート35fps(フレーム/秒)の4K解像度を実現し、4K動画を最大9時間半再生できるという。
Intelは既に、4.5〜15Wで動作する、モバイル機器向けのKaby Lakeプロセッサの出荷を開始している。2016年秋にも同プロセッサを搭載した製品が登場する見通しだ。ハイエンドノートPCおよびデスクトップPC向けの65Wプロセッサは、2017年早々に出荷する計画だという。
ただし、多くのシステムでは、新プロセッサに直接は関連しない新技術が実装されると予想される。例えば、USB Type-Cのコネクターを採用したThunderbolt 3が搭載される機器が120種ほどあると見込まれている。50種以上のシステムが4Kディスプレイを採用し、ASUSの「Transformer 3」のようなファンレスノートPCは7mm以下の厚さを実現すると予想されている。
Intelは、「新システムは、5年前のPCと比べてモバイル製品を70%以上高速化し、3Dグラフィックス性能を3.5倍向上できる」と述べている。
Intelはこうした比較データを発表することで、2015年に発売した14nmプロセスのSkylakeと比べて性能が劣る点もあることからは注意をそらしたい考えだと思われる。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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