さて、ここから、思い切った江端仮説を発動します。
この32万人の中から、"人工知能技術"に、わずかでも携った人間の数、そして、さらには、今、まさに流行している「深層学習 ―― Deep Learning」について理解している者の数を推定します。
まず、Google検索を使って、以下のキーワード検索の結果の数を読み取りました。
この検索は、いわゆるプログラムのソースコードが開示されているWebのページの数を数え上げることを目的としたものです。上記の5つの文字列は、コンピュータプログラムで使われる文字列で、最後に"プログラム"を付けたのは、日本語のページに限定するためです。
さらに、
となりました。
上記で、私が試みたことは、Webで公開されているソースコード数に対して、"人工知能"、あるいは"Deep Learning"に関係するソースコードを掲載しているWebのページ数を数え上げることでした。
ソースコードが開示されている、ということは、「そのソースコードのアルゴリズムの理解に至っていると解釈できる」と考えました。もちろん、ソースを公開しない(会社の業務であれば当然公開できない)人もいるでしょうが、全体として公開する人/公開しない人の比率は同程度であろうと割り切りました。
これらの数値を参考にして導き出した結果は、以下の通りです。
"人工知能技術"に対して技術的な知識を持つ人は約9200人、"Deep Learning"に関していえば1037人程度です。これは、これは日本の人口から考えると1万4000人に1人のみが「人工知能技術"を理解している」ことになり、12万人に1人のみが「"Deep Learning"を理解している」ことになります。
『あの毎日のように掲載される膨大な"人工知能"の記事の量に対して、たったこれだけの人間?』と思ったので、念のため別の方向からもチェックしてみました。
Webサイトでざっと調べてみたのですが、人工知能学会では3800人、日本知能情報ファジィ学会では約1100人の会員を有しているようです。また、私のように学会に入っていない人間や、他の業務で"人工知能技術"に関わらない人間もいます。
これらの他、実際に"人工知能技術"の"プログラミング"に係わっている人間も考慮すると、9200人というのは、それほど外れていないと思います。
そして、"Deep Learning"関連の記事の、あの空々しいまでのコピペ感 ―― 『全然知らないけど、分かっている風に書きましたよ感』 ―― を考えると、日本に1000人しか説明可能な人がいない、というのも、あながち外れていないのではないと思うのです*)。
*)私は「1000人でもまだ多い」と感じる。
以上、今回の検討でも、昨今の人工知能ブームは、"人工知能技術"を分かっていない人たちが、世間を踊らせ続けているものである ―― という、私の所感は、一層、強化されてしまいました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.