こんにちは、江端智一です。
本日も、元気に「人工知能」についてお話していきたいと思います。
前回のコラムで、私は、人工知能についての記事を読みまくって、「これらの記事では、“人工知能”のことはさっぱり分からん」という結論に至りました。
また、「人工知能」という技術は存在しないという話もしましたので、今回も人工知能に関連する技術の全般を、"人工知能技術"と表記することにします。
前回のコラムの後も考え続けていたのですが、「もしかしたら、人工知能の記事の大半は、人工知能のことを技術的に分かっていない人が書いているんじゃなかろうか」と疑うようになってきました。
というのは、"人工知能技術"というのは、つまるところソフトウェアによるコンピュータの超高速の繰り返し計算がベースとなっていますので、コンピュータの理解なくして、"人工知能技術"への理解はありえないからです。
さて、わが国の労働人口は6682万人で、(ちょっと古いデータですが)PC所有者数は6601万人と推定されています(参考)。つまり、働いている人は、全てPC(コンピュータ)を使える(98.8%)と考えても差し支えないと思います。
しかし、コンピュータを「使える」ことと、コンピュータを「理解できる」ことは、全く別次元の話になります。コンピュータを「理解できる」ことは、コンピュータを自分の思い通りに動かせること、と定義すれば、「コンピュータのプログラムを自力で組める」あたりを、「理解できる」ことの1つの基準にできると思います。
この定義を拡張すれば、"人工知能技術"のほとんどは、プログラム = ソフトウェアで実現されているので、「"人工知能技術"を理解できる」こととは、「"人工知能技術"に関するプログラムを自力で組める」ことと考えても良いと思います*)。
*)10〜20行程度のプログラム(コピペでもO.K.)を含む
さて、日本におけるIT関係の仕事についている人は111万人(ITベンダー:84万人、ITユーザー:27万人、2015年IT人材白書)です。これは、日本の労働人口の2%です。
さらに、ここでソフトウェアの開発に関わっている人口は、32万人(平成22年国勢調査)となっています。この32万人の全てがプログラマーというわけではないでしょうが(ゲームのキャラクタデザインや作曲、ツールの設定画面の設計者なども含まれるから)、ここでは、この32万人が、潜在的な"人工知能技術"を理解することができる技術者の予備軍と仮定します*)。
*)これは多すぎると思っています(後述)。
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