Xilinxの日本法人(ザイリンクス)は、2016年10月4〜7日に幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN 2016」の講演で、インダストリアルIoT(IIoT)を実現する取り組みについて語った。
ALL Programmableデバイスを活用することが、経済性と差別化実現のカギ―ー。
Xilinxの日本法人(ザイリンクス)でシニアマーケティングマネジャーを務める神保直弘氏は、2016年10月4〜7日に幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN 2016」の講演において、インダストリアルIoT(IIoT)を実現する取り組みについて語った。
IIoTは、同社が挙げる業界メガトレンドの1つであり*)、ファクトリーオートメーションやエネルギー、医療機器などが対象だ。見込める市場は大きく、DatawatchとGEの調査では、1%の効率改善で数百億米ドルのコスト削減が可能という。
*ザイリンクスが、業界のメガトレンドとして挙げているのは、「クラウドコンピューティング」「エンベデッドビジョン」「インダストリアルIoT」「5Gワイヤレス」の4つである。
神保氏は、「Siemensによると、IIoT時代における顧客の要望は、市場投入までの時間を削減、フレキシビリティーの強化、効率の向上である。当社のソリューションを活用することで、これらの要望に対応できると考えている」と語る。
神保氏によると、同社のCPUコア搭載型FPGA「Zynq」シリーズでは、従来のARMコアだけでなく、リアルタイムプロセッサやGPUなどを1チップにした製品も展開しており、用途に応じたプロセッサを選択できる。
また、FPGAは冗長性がある分、無駄が多くて消費電力が高いと指摘されてきたが、CPUやGPUと比較すると、消費電力当たりの処理能力は数十倍になったとする。
IIoT向けプラットフォームには特に適するとしており、さまざまな無線規格への高い接続性や、複数のデータを同時に処理するセンサーフュージョンが特長だ。
神保氏は、「顧客から特に好評だったのが、“安全性とセキュリティ”である。世界中のインフラ機器がパブリックなネットワークでつながるようになると、セキュリティが大きな課題となる。Zynqシリーズでは、どのデバイスと、どのような通信を行うかをワンチップで実装できるため、安全性とセキュリティが高いとフィードバックをもらった。さらに、FPGAは電源を入れるまで中身は空っぽのため、稼働しているときにハッキングをされたとしても、電源が落ちたらSRAM上のデータは全て消える。そういう意味では、リバースエンジニアリングに対しては、最強の半導体と考えている」と語る。
他にも、長期信頼性が求められる産業用途で活用するメリットとして、「ISO 61508やISO 26262などの機能安全規格に認定されていること、12〜15年以上のデバイス供給が可能なこと、28nmファミリーでデザインとIPのエラッタがないこと」を挙げた。
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