組み込みシステム/IoT(モノのインターネット)関連技術展示会「Embedded Technology 2016(ET 2016)」「IoT Technology 2016」が2016年11月16日から開催される。EE Times Japan/MONOistでは、開催に先駆けて同展示会の注目出展社の見どころを紹介している。今回は、このほど、BroadcomのIoT向け無線通信事業を買収するなど、IoT向けソリューションを強化しているCypress Semiconductor(サイプレス セミコンダクタ)の日本法人である日本サイプレスのブースの見どころを紹介する。
2016年11月16〜18日の3日間、「Embedded Technology 2016(ET 2016)」「IoT Technology 2016」と2つの展示会が横浜市のパシフィコ横浜で開かれる。EE Times Japan/MONOistでは、同展示会の開催に先立ち、注目出展企業ブースの見どころを取材し、紹介している。今回は、Cypress Semiconductor(サイプレス セミコンダクタ)の日本法人である日本サイプレスのブースの見どころを紹介しよう。
Cypressは、ARMコアベースのマイコン「FMファミリ」やプログラマブルSoC「PSoC」といった組み込みプロセッサをはじめ、電源ICなどのアナログ半導体、SRAM、NOR型フラッシュなどのメモリと、組み込みシステムに不可欠なキーデバイスを包括的に扱う半導体メーカーだ。最近では、BroadcomのIoT(モノのインターネット)向け無線通信事業を買収。Cypressの豊富な組み込みシステム向け半導体製品群が一層、強化された形だ。
今回のET 2016で日本サイプレスは、買収したばかりの旧Broadcomの無線通信製品も含めた自社製品を組み合わせて構築したさまざまなIoT向けソリューションを提案する。その中でも注目のソリューションが「電池レスBLEセンサーを使ったクラウドセンシングソリューション」だ。
IoT社会では、より多くのセンサーを配置し、それらセンサーからの情報をシームレスにネットワーク、クラウドサービスへ接続、伝達することが求められる。そうした中で、「電池レスBLEセンサーを使ったクラウドセンシングソリューション」は、“より多くのセンサーを配置しやすく”と“センサーをより簡単にクラウドサービスにつなぐ”という2つのコンセプトを具現化するソリューションとして構築したものだ。
同ソリューションは、温湿度センサーを搭載したセンサー端末と、ゲートウェイ、無線LANルーター、そしてクラウドサービスで構成される。まず、特徴的なのが、センサー端末だ。光発電パネルで発電した電力だけで動く“電池レス動作”を実現し、多くのセンサー端末を配置する際に課題となる、電池交換などの保守/メンテナンスをフリーにした。
そしてサイズも、直径23.5mmの10円硬貨とほぼ同じ。搭載する光発電パネルはわずか1cm角だ。
一般に光発電で動作する電池レスセンサー端末は数センチ角程度の発電パネルを必要とする。数センチ角以上でなければ、センサーやマイコン、無線ICなどセンサー端末を構成するデバイスを動作させるために必要な電力量を確保できないためだ。
Cypressでは、ARM Cortex-M0コアベースのPSoCにBluetooth Low Energy(BLE)対応無線機能を集積しながら、消費電力を抑制したSoC「PRoC BLE」*1)などを使い、端末の消費電力自体を下げながら、環境発電用途向けに開発したパワーマネジメント(PM)IC「S6AE101A」*2)により、わずか1cm角の光発電パネルの発電量だけで動作するセンサー端末を実現した。なお、このセンサー端末は、レファレンスキットとして2016年6月に製品化し、販売している。
*1)関連記事:Bluetooth Low Energy無線機能を集積、サイプレスの「PSoC 4」と「PRoC」
*2)関連記事:1cm角太陽電池で動く無線端末を実現する電源IC
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