DS28C36のコンパニオンコプロセッサ「DS2476」も用意した。ホストMCUがECCアルゴリズムを実行するための十分な処理能力を備えていない場合や、SHA-256対称鍵に必要なセキュアストレージを備えていないシステムなどに有用となる。
セキュア認証用ICを応用した事例の1つとして、脈拍測定などを行うメディカルセンサーシステムを挙げる。ホスト側とセンサー側にそれぞれセキュア認証用ICが組み込まれており、SHA-256によってサポートされた対称秘密鍵を用いて認証するシステムである。
もう1つは、DeepCoverセキュアマイクロコントローラー「MAX32560」である。ARM Cortex-M3コアをベースに、PCI-PTS(Pin Transaction Security)規格に対応するセキュリティ機能や決済用インタフェースなど、主要な機能を1チップに集積した。Jones氏は、「これまで外部に最大6チップを使う必要があった機能を1チップで実現。これによって、プリント基板への実装面積を削減でき、決済端末機器の開発期間も短縮することができる」と語る。破壊的手段による攻撃に対しても、すでに強力な保護機能を備えているが、今後はさらにこの機能を強化した製品を投入していく予定である。
同社は、日本市場におけるエンベデッドセキュリティ事業で、プリンタやPOS端末向けなどに多くの納入実績を持つという。これから日本市場でフォーカスしていく分野としてJones氏は、「日本企業が強いFAシステム/PLC市場でもセキュリティ機能の重要性が高まっており、この領域へのアプローチを強めていく。将来は自動車分野でも期待している」と述べた。
車載関連ではすでに、純正の交換部品であることを認証するためのシステムなどを、欧州の自動車メーカーと一緒になって研究しているという。ADAS(先進運転支援システム)に向けでは、より高速に処理する暗号化システムなども必要になるとみている。「現状では車載向けとして実際にデバイスを設計するまでは至っていないが、車載向け製品を開発するための要素技術はすでに保有している」(Jones氏)と語った。
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