米国のスタートアップであるPacket Hostが、「ARMv8」アーキテクチャを搭載したサーバを用いたベアメタルクラウドサービスの提供を、2016年12月16日に日本で開始した。専用サイトへの申し込みから10分以内に専用サーバが構築され、80円/時間という低価格で同サービスを利用できる。
米Packet Host(以下、Packet)は2016年12月16日、64ビットアーキテクチャ「ARMv8」を搭載したサーバ「Type 2A」を用いたベアメタルクラウドサービスの提供を日本で開始した。これに伴い、Packetは東京にデータセンターとオフィスを開設している。
Packetは2014年に米ニューヨークに設立された、ベアメタルクラウドサービスを提供する新興企業だ。現在の従業員は23人。ソフトバンクは2016年からPacketに出資している。Packetは、これまでは、Intelのプロセッサを搭載したサーバを用いてきたが、今回初めてARMサーバを採用した。
Type 2Aは、Caviumの48コアARMプロセッサ「ThunderX」を2個(合計96コア)搭載している。製造は、台湾のFoxconn(フォックスコン)が請け負う。同サーバ群でシステムを構成することにより、省電力および省スペースを実現した。サーバラックの容量は1ラック当たり7300コアと、非常に高密度である。Intelの「Xeon E5-2650」を搭載した同社のサーバ「Type 2」に比べると、コア時間当たりのコストは10分の1になるという。例えば日本では、コア時間当たりのコストは、Type 2が約9円なのに対し、Type 2Aでは1円以下となっている。
さらに、Type 2AとType 2に同じタスク(素数の演算)を実行させるテストを1000回以上行った際、Type 2Aは、Type 2の40%のコストで2倍速く処理を行ったという。PacketのCEOを務めるZachary Smith氏は、「つまり、性能におけるコストパフォーマンスは実に約5倍になる」と語る。
Type 2Aは、DockerやKubernetes、MesosなどのクラウドネイティブやIoT(モノのインターネット)での利用を想定している。さらにPacketは、Red Hat、Ubuntu、CoreOS、FreeBSDの各OSでARMv8をサポートできるよう、エコシステムと協力しているという。
Smith氏は、「ARMv8アーキテクチャを搭載したサーバを用いたベアメタルクラウドサービスは、世界初となる」と述べる。「ARMといえばスマートフォンやその他の組み込み機器向け、というイメージを変え、ARMサーバでもIntelサーバにひけをとらないクラウドサービスを提供できるということを示したかった。さらに、ARMサーバを用いるということは、顧客にとって選択肢が増え、健全な競争が生まれることにもつながる」(同氏)
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