東芝は2017年5月15日、2016年度の最終赤字は9500億円になるとする業績見通しを明らかにした。合わせて、2017年度業績見通しも公表し、2016年度から一転、最終黒字を確保する考えを明らかにした。
東芝は2017年5月15日、2017年3月期(2016年度)および、2018年3月期(2017年度)の通期業績見通しを公表し、2016年度は9500億円の最終赤字となる一方で、2017年度は最終黒字を目指すとの方針を明らかにした。
東芝は2016年度の通期決算について「現在、独立監査人と決算手続きを継続している」(東芝社長 綱川智氏)とし監査を終えていない状況が続き、法定期限である2017年6月末までの決算発表を行う方針。監査作業は現状、2016年度に巨額損失を計上した海外原子力事業の損失を認識した時期についての調査に対する評価を進めているとし、同評価が2017年6月末までに完了するかどうかについて東芝経営陣は名言を避けた。
この日発表した2016年度通期業績見通しは、2017年3月に米国連邦倒産法第11章に基づく再生手続き申し立てに入った米国の原子力子会社ウェスチングハウス(以下、WH)を非連結事業に区分。そのため、2016年度の売上高、営業損益、税引き前損益からWH関連の業績は外れ、WHに関連した損失は非継続事業当期純損益として計上。その結果、2016年度の売上高見通しは4兆8700億円で、WH関連売上高を除いた2015年度売上高に比べ2848億円の減収となった。営業損益は、2700億円の黒字、税引き前損益も2400億円の黒字を確保した。
一方、最終損益は、非継続事業当期純損益で1兆2600億円の赤字を計上することにより、9500億円という巨額赤字に。株主資本はマイナス5400億円で債務超過となる。
債務超過の解消について綱川氏は「メモリ事業への外部資本導入とともに、聖域なく保有資産の見直しを実施する」とし、2017年度中に債務超過を解消させる方針。財務基盤強化策の柱であるメモリ事業の売却に関しては、メモリ事業のパートナーであるWestern Digital(ウェスタン・デジタル/以下、WD)が2017年5月14日(米国時間)に、東芝のメモリ事業売却は共同出資事業契約に違反すると主張し、国際商業会議所(ICC)国際仲裁裁判所に仲裁申し立てを行っている。
WDの主張に対し綱川氏は「メモリ事業を(東芝メモリとして)分社し、東芝メモリのマジョリティー(=過半議決権)を含む譲渡は、(共同出資事業の)契約に抵触するものではなく、WDが(譲渡を)止める根拠はないと考えている。WDが(従来東芝と共同出資事業を行ってきたSanDiskを)買収した時も東芝の同意は不要だった」とし、東芝としての正当性を主張しながら予定通りメモリ事業の売却作業を進めていくとの姿勢を強調した。
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