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ZTE、5Gに向け“プレ基地局”で市場シェア拡大WTP2017

ZTEは、展示会「ワイヤレス・テクノロジー・パーク 2017」で開発中の5G(第5世代移動通信)対応基地局の展示などを実施した。

» 2017年05月24日 17時25分 公開
[竹本達哉EE Times Japan]

Massive MIMOでシェア上昇

 2017年5月24日に開幕した「ワイヤレス・テクノロジー・パーク(WTP)2017」(会場:東京ビッグサイト、併催:ワイヤレスジャパン2017、会期:2017年5月26日まで)で、ZTE(中興通訊)は、商用化済みのMassive MIMO(大規模MIMO)対応のLTE基地局や、開発中の5G(第5世代移動通信)基地局の展示し、5G商用化に向けた技術、製品開発が順調に進んでいることをアピールした。

TDD―LTE対応のプレ5G対応基地局の展示 (クリックで拡大)

 今回が初のWTP出展となったZTEのブースでひときわ目立っているのが、「Pre(プレ)5G」と表示下に置かれた大きな基地局2つだ。この大きな基地局は、TDD―LTE対応基地局とFDD―LTE対応基地局であり、厳密に言えば4G対応基地局になる。しかし、ZTEがこれらの基地局をプレ5Gと称するのは、2020年の商用化が見込まれる5Gに導入される特長的な技術であるMassive MIMO技術を取り入れた基地局だからだ。2.5GHz帯、3.5GHz帯のTDD―LTE基地局は128アンテナ(送受各64ポート)を備える。Band3の周波数帯(上り1710〜1785MHz、下りが1805〜1880MHz)対応FDD-LTE基地局も64アンテナ(同32ポート)を備えたプレ5G仕様だ。いずれも製品化済みで、前者のTDD―LTE基地局は日本国内でも2016年から全国で稼働している。

 「プレ5G基地局は、通信容量を6〜8倍に拡張でき、周波数利用効率を大きく改善できる。日本、中国だけでなく世界30カ国以上で商用利用されている。プレ5G基地局の投入で、市場シェアも高めることに成功した」(ZTE ワイヤレス事業部5Gソリューションマネージングディレクター Alex Wang氏)と市場での評判は上々だ。

5Gに向け準備着々

開発中のミリ波対応5G基地局 (クリックで拡大)

 しかし、ZTEが見据えるのは、プレ5Gの先、5Gの時代だ。「プレ5G基地局で、技術力の高いZTEとしてのブランド力を高めた。今後も5G向け技術開発をリードし通信事業者(キャリア)の5Gネットワーク早期展開をサポートする」(Wang氏)と語る。

 WTP2017 ZTEブースでは、開発中の5G基地局も展示。28GHz帯、60GHz帯といったいわゆるハイバンド対応基地局(アンテナ素子数256)と、3.5GHz帯、4.5GHzのローバンド対応基地局(同128)を披露した。いずれの基地局も、TDD方式のNR(New Radio)試験に対応した基地局で、Massive MIMOの他、ビームトラッキング、ビームフォーミングといった5Gの要素技術を導入している。

 5G基地局でさらにシェア向上を狙うZTEでは「現状は、キャリアを中心にパートナーシップを結び、フィールドテストやシミュレーションを繰り返していくことが重要」(ZTEジャパン ネットワーク事業部 最高マーケティング責任者 Leo Chao氏)とする。

左から5Gの標準化活動に携わるZTEのWang Xinhui氏、Alex Wang氏、Leo Chao氏

 地元中国だけでなく、世界各国のキャリアとさまざまな5G開発プロジェクトを進めているとし、日本ではソフトバンクとの戦略的パートナーシップを結ぶ。ソフトバンク以外の国内大手キャリアについても「定期的な技術交流を行っている」とした。加えて、「5Gでは、URLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communications/超高信頼低遅延)、mMTC(massive Machine Type Communications/大量端末通信)といったIoT(モノのインターネット)に向いた仕様もある。IoTではキャリアだけではなく、さまざまなパートナーと広く提携しエコシステムを構築する必要がある」(Chao氏)とし5G商用化に向けて積極的なパートナー戦略を展開していくとした。

特集ページ「ワイヤレスジャパン/WTP 2017」

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