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「ムーアの法則は終わった」、NVIDIAのCEOが言及COMPUTEX TAIPEI 2017

台湾・台北で開催された「COMPUTEX TAIPEI 2017」で、NVIDIAのCEOであるJensen Huang氏は、「ムーアの法則は終わった。マイクロプロセッサはもはや、かつてのようなレベルでの微細化は不可能だ」と、ムーアの法則の限界について言及した。

» 2017年06月05日 11時30分 公開
[Alan PattersonEE Times]

「ムーアの法則は終わった」

 「ムーアの法則は終わった」。NVIDIAのCEO(最高経営責任者)を務めるJensen Huang氏は、アカデミック界で長年ささやかれてきた説について、大手半導体企業として恐らく初めて言及した。

 ムーアの法則は、Intelの共同設立者であるゴードン・ムーア氏が1965年に、「トランジスタの微細化は非常に速く進み、集積度は毎年倍増していく」と提唱したことから生まれた。ただし、微細化の速度は1975年に、「2年ごとに2倍になる」と変更された。

 Huang氏は、台湾・台北で開催された「COMPUTEX TAIPEI 2017」(2017年5月30日〜6月3日)で、報道陣やアナリストに向けて、「スーパースカラーによるパイプラインの段数増加や投機的実行といったアーキテクチャの進化によって、ムーアの法則のペースは維持されてきた。だが現在は、そのペースが鈍化している」と語った。

 同氏は、「マイクロプロセッサはもはや、かつてのようなレベルでの微細化は不可能だ。半導体物理学では『デナード則』をこれ以上継続することはできない」と明言した。

「COMPUTEX TAIPEI 2017」で登壇するNVIDIAのCEO Jensen Huang氏

 「MOSFETの比例縮小則」としても知られるデナード則は、Robert H. Dennard氏が1974年に共同執筆した論文に基づいて名付けられた。その概要は「MOSFETは小型化するだけで高速かつ低消費電力になる」というものだ(関連記事:NVIDIAがMOSFETの比例縮小則(デナード則)を解説(前編))。

 デナード則に基づいた微細化が限界を迎え、ムーアの法則も限界に近いといわれ続ける中、半導体業界は成熟期に入った。次世代プロセスの開発に必要な数十億米ドルの投資は、ほんの一握りの半導体メーカーにしか行えなくなっている。これまでのところ、16nm/14nmノードを適用したチップを製造できている半導体メーカーは数社だけだ。微細化が進むにつれて、設計ルールの定義も曖昧になってきている。

 プロセス技術の進化が減速したことで、ここ数年は数十億米ドル規模の企業合併や買収が増え、業界の統合が急速に進んでいる。

 Huang氏はこうした状況の中、グラフィックスプロセッサについて、半導体業界に“暫定協定”を呼び掛けた。「GPUは今後も継続的な進歩が期待できる」(同氏)という理由からだ。

Huang氏は、半導体業界の今後の進化は、GPUの進化が支えると主張した

 同氏は、「ディープラーニング(深層学習)の分野ではGPUの活用が進むと予想される。NVIDIAは、当社がシェアを独占してきたコンピュータゲーム分野だけでなく、AI(人工知能)向けの新たなアーキテクチャとしてGPUを開発している」と続けた。

 台北のクレディ・スイスでアナリストを務めるRandy Abrams氏は、NVIDIAはAI向けの半導体IC開発に対して極めて強気に進めていると話す。NVIDIAは、ディープラーニング向けとして、同社の次世代GPUアーキテクチャ「Volta」を採用したGPUを、TSMCの12nmプロセスで製造することを明らかにしている。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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