ブラジルのコンピュータ関連企業Qbex Computadoresが、同社製スマートフォンの爆発の原因がIntel製のSoC「SoFia」の設計ミスにあると主張。最大1億米ドルの損害賠償を求め、Intelを提訴した。
ブラジルに拠点を置くコンピュータ関連企業のQbex Computadores(以下、Qbex)は、同社製スマートフォンの加熱、発火、爆発が起きた原因がIntel製のSoC「SoFia」にあるとして、Intelを訴えている。Qbexは2017年6月12日、最大1億米ドルの損害賠償を求めて、米国カリフォルニア州サンノゼの連邦地方裁判所に提訴した。
Qbexは訴状の中で、SoFiaの設計ミスが原因で、ブラジル国内で顧客から3万5000件のクレームを受け、4000件の訴訟を起こされたと主張している。この設計ミスは第三者機関の調査で見つかったもので、その内容は後日、発表する予定だ。Qbexは、「当社は今や、爆発する欠陥スマートフォンのブランドとして認知されてしまった」と述べている。
Intelは当初、訴状へのコメントを避けていた。だがその後、Intelの広報担当者が「当社は現在、訴状での申し立てを見直しており、今後徹底的に調査する方針だ。とはいえ、現段階ではQbexの主張を裏付ける証拠は何もない」とのコメントを発表した。
Qbexは2003年にエレクトロニクス製品の組み立て業者として事業を始めた。その後、2012年には60万台ものPCを販売し、年商8500万米ドルの企業に成長。やがてタブレット事業にも参入し、2015年にはSamsungのGalaxyに次ぐ売上高を達成した。
2015年6月、QbexはIntelとの取引を成立させ、中国の委託製造業者4社が提供する部品とSoFiaを採用したスマートフォンの組み立てと販売を開始した。Qbexは当時、Qualcommとスマートフォン関連の取引を交わすことも検討したという。
ある時、Qbexは組み立てラインの9割以上をSoFia搭載スマートフォンの組み立てに割り当て、その事業のために200人を増員した。同社は2015年10月から2016年12月にかけて、合計23万5074台のSoFia搭載スマートフォンを販売したが、その後ユーザーからのクレームが殺到。同事業を休止するに至った。
QbexはIntelと中国の委託製造業者に対し、SoFiaの設計ミスについて通知しなかったことを非難している。さらに、IntelがSoFia関連事業を休止した後の2016年5月に、Qbexに対し1250万個ものSoFiaを販売しようとしたことも非難している。Intelは中国のRockChipと共同でSoFiaを開発したが、不振が続くモバイル事業の再編の一環として、2016年4月にSoFia関連の事業を休止していた。
今回の件でQbexは最終的に、クレームと訴訟に対処するためだけに216人ものスタッフを雇い入れざるを得なかった。その上、1万8000台のスマートフォンを交換する羽目に陥った。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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