米国のトランプ大統領が、中国の取引慣行に関する調査を承認する覚書を発表した。米半導体工業会(SIA)は、この発表に支持を表明している。
米国のトランプ大統領が、中国の取引慣行に関する調査を承認する覚書を発表した。半導体業界最大の業界団体である米半導体工業会(SIA:Semiconductor Industry Association)は、これに即座に反応し、「これまで長年にわたり、中国の産業政策には市場をゆがめる側面があると懸念してきた」として、サポートの提供を表明している。
SIAのプレジデントを務めるJohn Neuffer氏は2017年8月14日(米国時間)に、声明を発表し、「米国の半導体業界は、トランプ政権と連携していくための準備を整え、米国の知的所有権(IP)や重要な技術を、窃盗や、外国市場への強制的な移転などから保護していく考えだ」と述べている。
Neuffer氏がこの声明を発表したのは、トランプ大統領がホワイトハウスで実施したイベントの中で覚書を発表し、広くテレビ放映された直後のことだった。この覚書は、米通商代表部のRobert Lighthizer氏に対し、中国の法律や政策、慣行、活動が、理不尽または差別的ではないか、また米国のIPや革新的技術などに損害を与える可能性がないかなどを調査するよう指示しているという。
トランプ大統領は、「今回の覚書は、ほんの序の口にすぎない」と述べている。
中国のIPに対する姿勢に関しては、これまで長い間、半導体業界をはじめ、米国のさまざまなハイテク業界から、批判の声が上がっていた。米国の半導体メーカーは、中国国内に製造施設を設立するための条件として、現地企業との間で合弁会社を設立するよう中国政府から迫られることについて、最終的にはIPの窃盗につながるとして不満を抱えている。
Neuffer氏は、今回発表した声明の中で、「中国は、半導体の世界的な価値連鎖において重要な役割を担っているが、SIAはこれまで長期にわたり、中国の国家主導による産業政策に対し、市場をゆがめる可能性があるとして懸念を表明してきた。例えば、強制的に技術移転を迫るような慣行は、米国企業を不利な立場に置き、IPを危険にさらす恐れがある。中国が確実に世界の取引義務を果たし、市場原理によって競争結果が判断されるよう、バランスの取れた公正かつ客観的な調査を徹底的に実施することができれば、市場アクセスに関する問題に対応していく上で、大きなサポートとなるだろう」と述べている。
ホワイトハウスは、2017年8月14日に発表した声明の中で、「中国が施行している法律は、米国の技術やIPを中国企業に移転させることを奨励するための措置を講じている。例えば、米国企業が中国国内で事業を展開する場合、中国企業との間で合弁会社を設立するよう求められるため、結果として中国企業が、米国のIPを強制的に入手することになる」と述べている。
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