市場調査会社のIC Insightsは2017年8月31日(米国時間)、2017年における半導体設備投資が過去最高の809億米ドルを記録すると予測した。同時に、過度の投資がフラッシュメモリの供給過剰を招き、それに伴いフラッシュメモリ価格の低下が起きるとの懸念も示している。
2017年上半期における半導体設備投資の大幅な増加を踏まえ、市場調査会社のIC Insightsは2017年における半導体設備投資の年間予測額を、前年比20%増となる過去最高の809億米ドルに引き上げた。以前の予測額は前年比12%増の756億米ドルだった。
発表日は2017年8月31日(米国時間)。IC Insightsの予測によると、ウエハーファウンドリ(28%)とNAND型フラッシュメモリ(24%)への投資が、全設備投資の半分以上を占める。DRAMとSRAMへの投資は前年比53%増と主要製品の中で最も大きな伸びを示し、130億米ドルに達する見込みだ。
2016年7〜9月期以来、DRAM価格は急上昇しており、DRAMメーカーは再びこの分野への投資を強化している。投資の大部分は技術の向上に向かっているが、DRAMメーカーのSK Hynixは最近、技術の進歩だけでは需要に追い付けないと認めた。ウエハーの生産能力を上げる必要があるという。
一方、DRAMへの投資が急増したにもかかわらず、フラッシュメモリへの投資は、DRAMとSRAMへの投資よりもはるかに高い190億米ドルに上るという。2016年には前年比23%と大幅に増加したが、2017年は前年比33%の急増を記録する見通しだ。
製品 | 2017年年間投資額 | 前年比成長率 | 総投資額に占める割合 |
---|---|---|---|
MPU/MCU | 116億米ドル | 16% | 14% |
ロジック | 76億米ドル | 11% | 9% |
ファウンドリ | 228億米ドル | 4% | 28% |
DRAM/SRAM | 130億米ドル | 53% | 16% |
Flash/NV | 190億米ドル | 33% | 24% |
アナログとその他 | 69億米ドル | 21% | 9% |
合計 | 809億米ドル | 20% | |
出典:IC Insights |
IC Insightsは、フラッシュメモリへの設備投資は実質的にその全てが、3D NANDプロセス技術に向かうと見ている。それは、韓国の平沢市にあるSamsung Electronicsの新工場における3D NANDの生産を含む。
Samsung Electronics、SK Hynix、Micron、Intel、東芝、Western Digital、SanDisk、Yangtze River Storage Technologyは、今後数年の間に3D NANDフラッシュの容量を大幅に増やす予定だ。
しかし、過度の投資が設備の過剰を招き、その後の価格低下をもたらすことは、メモリ市場の歴史が示している。IC Insightsは、3D NANDフラッシュメモリが供給過多に陥るリスクは現時点で既に高く、今後さらに増していくと見ている。
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