従来型材料を使った強誘電体トランジスタの研究開発(前編):福田昭のストレージ通信(74) 強誘電体メモリの再発見(18)(2/2 ページ)
一方、有機高分子の強誘電体材料であるPVDF-TrFEを使った強誘電体トランジスタは、有機基板とシリコン基板の両方で試作された。ただしデータ保持特性は芳しくない。強誘電性を有するトランジスタとして動作を確認するレベルにとどまっている。
またPVDF-TrFEの場合、耐熱性が250℃と低い。このため、シリコンのCMOSプロセスで不揮発性メモリを実現することは、困難だと考えられている。
有機高分子の強誘電体材料であるPVDF-TrFEを使った強誘電体トランジスタの特性例。出典:NaMLabおよびドレスデン工科大学(クリックで拡大)
(次回に続く)
⇒「福田昭のストレージ通信」バックナンバー一覧
- DRAMについて知っておくべき、4つのこと
今回は、DRAMで知っておくべき4つの事実を紹介する。「DRAMの事業規模は巨大であること」「DRAMの性能は常に不足していること」「DRAM開発は傾斜が急になり続ける坂道を登っているようなものであること」「3次元技術はDRAM開発にとって援軍ではあるが救世主ではないこと」の4つだ。
- IEDMで発表されていた3D XPointの基本技術(前編)
米国で開催された「ISS(Industry Strategy Symposium)」において、IntelとMicron Technologyが共同開発した次世代メモリ技術「3D XPoint」の要素技術の一部が明らかになった。カルコゲナイド材料と「Ovonyx」のスイッチを使用しているというのである。この2つについては、長い研究開発の歴史がある。前後編の2回に分けて、これらの要素技術について解説しよう。
- キャッシュメモリの基礎
今回は、キャッシュメモリについて解説する。キャッシュの考え方はとてもシンプルだが、実装となるとさまざまな方法があって複雑だ。今回は、3つのキャッシュアクセス構造について説明しよう。
- メモリ価格の高騰はしばらく続く
DRAMとNAND型フラッシュメモリは価格は上昇していて、この傾向は今後もしばらく続くという。
- 分子を用いた縦型共鳴トンネルトランジスタ
物質・材料研究機構(NIMS)らの研究グループは、分子を量子ドットとして用いた縦型共鳴トンネルトランジスターを作製し、その動作を実証することに成功した。
- 有機半導体の電荷移動度、極低温でSi並みに
産業技術総合研究所(産総研)と東京大学が、フォノン散乱で高移動度有機半導体の電荷移動度やスピン緩和時間が定まることを明らかにした。−270℃の極低温で分子の揺らぎを抑えれば、高移動度有機半導体の電荷移動度は650cm2/Vsに達するという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.