さて、次に「生産性」といわれているものの内容について調べてみました。
上記の表を読んで頂ければ明らかなのですが、私たちは普段、上記2つの生産性を分けて考えていないと思います。ですが取りあえず、どちらを使っても、政府の主導する働き方改革の「生産性」を説明できないことだけは、分かります。
そうはいっても、説明可能な「何か」がなければ、会社の業績も、日本国のGDPも発表できませんので困ります。そこで登場するのが、"TFP(全要素生産性)"という考え方です。
計算式は分からんけど、ともかく数値は出てくる。なら、出てきた数値で評価すればいいじゃん? という、「数字だけで世界を回して(理解して)みよう」という考え方です。
この方法では、結果は分かるけど、そのアプローチ(数式やロジック)は分からないままですので、「たった1年で、あなたの会社の生産性を2倍にする」というような、コンビニに並んでいそうなハウツー本を作ることはできそうにありません。
私、政府のさまざまな資料に目を通したのですが、実は「生産性」は、手段の1つであって、大切なのは「経済の成長率」ということが読み取れました。経済が成長できるのであれば、「生産性」なんぞは、本当はどーでも良いんです。
なぜ、成長率が大切かというと、いろいろな意見があります。例えば、「十分な所得を得られる雇用機会が失われる」とか、「高齢化社会に対応できない」とか、「国際的な存在感を失う(いわゆる「日本が軽く見られるようになる」)」とかです。
それぞれ正しいと思うのですが ―― 私の所感としては ―― 「今よりも、悪い未来に生きたくない (マイナス成長の否定)」と、「成長率を0%にピッタリにコントロールすることは絶望的に難しい(ゼロ成長制御の困難性)*)」が理由であって、残った答えが「プラス成長」だと思っています。
*)例えば、「ゼロ成長を実現するために、あしたから、●●市と▲▲市内のスマホと携帯のサービスを、60日間全面停止する」という政府の命令が下されるような世界をイメージすると、分かりやすいかと思います。
「プラス成長」は、試みることがたくさんあって、変化があって、『プラスが大きすぎる』などと批判をされることはありません。何より、「プラス成長」の結果で不幸になるという人間を観念できません。
ならば、国家が、企業が、そして私たち個人が、「今日より良くなる明日」を目指すという目標は、そこそこ理にかなっていると言えます。
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