リコーは2017年10月30日、子会社のリコー電子デバイスの発行済み株式の80%を日清紡ホールディングス(以下、日清紡HD)に譲渡すると発表した。
リコーは2017年10月30日、完全子会社のリコー電子デバイスの発行済み株式の80%を日清紡ホールディングス(以下、日清紡HD)に譲渡することを決定したと発表した。譲渡予定日は2018年3月1日。譲渡額は非公表。
リコー電子デバイスは、1981年にリコーの電子デバイス事業部門として事業を開始し、2014年に会社分割による分社化で現体制となった。CMOSアナログ技術をコアとして、携帯機器市場向けの小型低消費電力電源ICをはじめ、車載や産機市場向けの高耐圧大電流電源IC、リチウムイオンバッテリー用保護ICなどを主力として展開。リコーグループの主力製品であるプリンタ、複合機向けに画像処理デバイスなども手掛ける他、半導体受託製造事業を実施してきた。2017年3月期業績は売上高230億8600万円、営業利益4億5100万円。
そうした中でリコーは、リコー電子デバイスが取り組むアナログ半導体事業に関して、「同業の事業会社との連携による資本、リソース、ノウハウの導入による競争力の強化を模索してきた」とし、子会社にアナログICやマイクロ波機器を手掛ける新日本無線を持つ日清紡HDに対し、発行済み株式の80%を譲渡することを決めた。
日清紡HD傘下の新日本無線は、バイポーラ技術をコアに、オーディオ、車載、産業機器用のオペアンプや電源IC、無線通信用デバイスを主力として展開し、2017年3月期業績は、売上高488億6500万円、営業利益17億9200万円。
日清紡HDは「リコー電子デバイスの電源ICはスマートフォン向けではトップクラスの採用実績を誇り、その技術を応用して車載やIoT(モノのインターネット)分野の拡充を進めていく。新日本無線のバイポーラ技術、リコー電子デバイスのCMOS技術を融合することで、車載やIoT分野での幅広いニーズに対応し、事業強化を図る」とする。
さらに日清紡HDは、半導体設計製造における新日本無線とリコー電子デバイスの連携を実施していくことも示唆する。「開発設計工程では、電源IC分野の重複するリソースを車載、IoT分野にシフトし、製品の開発、拡充を加速させる。前工程においては、リコー電子デバイスの製造拠点を活用し、後工程では新日本無線傘下の佐賀エレクトロニクス、(タイの製造子会社である)THAI NJRを活用することでコスト低減によるコスト競争力を高め事業基盤の強化を図る」(日清紡HD)としている。
なお、リコーはリコー電子デバイスの発行済み株式20%分を「当分の間、継続保有する予定」(日清紡HD)で、「持分法適用会社としてリコー電子デバイスを引き続き支援する」(リコー)とする。また、リコー電子デバイスの商号、ブランドについても「当面、継続使用する予定」(日清紡HD)としている。
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