図4は、Webなどで高い評価を集めているJBL製ワイヤレススピーカー「GO」だ。さまざまな筐体色を取りそろえていて使い勝手も良い(ワイヤレススピーカーに多い円筒型ではない箱型なので置いたときの座りもよく、音質も同価格帯では上位)。JBLは有名オーディオメーカーであるHarman Internationalのブランドであり、特にスピーカーでは老舗ブランドだ。なおHarmanは、Samsung Electronics(サムスン電子)に買収されている。
JBLのスピーカー製品の中でも最も出荷数量の多いモデルである「GO」には音声処理、Bluetooth通信の統合チップとして中国メーカーであるVIMICROのチップ「WS9623」が使われている。VIMICROのWS9623内には128MHzで動作するCPU、音声処理のためのDSP、オーディオコーデック、電源管理機能、Bluetooth4.1のラジオ機能、加えてデータ保存用の4Mビットのシリアルフラッシュメモリが入っている。開封したチップ上には製造年情報などが記載されるが、VIMICROチップには2015年との記載があり、新しいチップであることが確認できている。2015〜2017年にかけて、中国では多くのチップが設計開発された。これらが2018年以降、ますます実製品に採用され、世に出ていることだろう。
VIMICROは1999年創業の中国では老舗のファブレス半導体メーカーである。2006年には当時の主力チップ製品「星光1号」が出荷数1億個を達成したと報じられている。また同年、ファブレス半導体協会(FSA/現:GSA)の年次表彰で大賞を受賞している。
20年近い歴史を持つVIMICROのような中国チップメーカーもあれば、続々と生まれる新興メーカーもある。今年も中国から目が離せない。
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