半導体メモリのチップとパッケージとシリコンダイ(後編) : 福田昭のデバイス通信(140) (2/2 ページ)
それでは、DRAMやフラッシュメモリなどが内蔵しているシリコンダイの「枚数」を知る方法は、あるのだろうか。結論から先に述べてしまうと、シリコンダイの枚数を知る方法は「ある」。大きく分けると2つの方法、すなわち比較的簡単な方法と、やや複雑な方法がある。
比較的簡単な方法は、半導体メモリベンダーのWebサイトで、製品情報を見ることである。ベンダーによっては製品情報に、パッケージに内蔵したシリコンダイの枚数を記述している。
例えばSK HynixのWebサイトからは、NAND型フラッシュメモリ製品の一覧表(データブック、PDF形式)をダウンロードできる。一覧表には、「スタック(STACK)」と書かれている項目があり、先ほど説明したSDPやDDPなどの名称が記載されている。この名称から、シリコンダイの枚数が分かる。
SK HynixのNANDフラッシュメモリ製品データブック。TLCタイプの製品ページの一部を拡大表示した。中央に「STACK」の項目があり、SDPやDDPなどのシリコンダイの枚数(積層数)を示す情報が開示されている
やや複雑な方法は、半導体メモリベンダーのWebサイトから、製品のデータシートを入手して、製品番号の定義を調べることである。製品番号はアルファベットと数字の羅列であり、それぞれの文字が意味を有している。その中に、シリコンダイの枚数に関する情報がある。
例えばMicron TechnologyのMLC方式NANDフラッシュメモリ「MT29F」ファミリーのデータシートは、製品番号の定義(Part Numbering Information)の中に、シリコンダイの枚数を示す記号を明記している。データシートはページ数が多く、200ページから300ページに及ぶことが珍しくない。また製品番号は桁数が10桁〜20桁と多く、複雑ではある。このため、調べるのにはいささかの手間を必要とする。
「MT29F」ファミリーのデータシート。製品番号の定義(Part Numbering Information)に関する部分(クリックで拡大)
「MT29F」ファミリーの製品番号情報(Part Numbering Information)から、シリコンダイの枚数に関する記号を抜粋したもの。シリコンダイが同じ枚数の製品でも、チップイネーブル(CE)信号の個数や入出力のチャンネル数などの違いにより、異なる記号が割り当てられている
ただし最近は、顧客あるいは顧客候補としての登録を済ませないと、データシートを入手できないことがある。そうなった場合は、公開情報からシリコンダイの枚数を知ることは難しい。
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