Intelは、「Mobile World Congress(MWC) 2018」で、5Gモデムチップを搭載した2-in-1 PCのプロトタイプを展示する。5Gが実現するギガビット/秒クラスの通信速度により、セルラー対応PCが普及すると、Intelはみている。
Intelは、2018年2月26日から3月1日までスペイン・バルセロナで開催される「Mobile World Congress(MWC)」で、5G(第5世代移動通信)モデムチップを組み込んだ2-in-1 PCの実用的なプロトタイプを披露する予定だ。
同社によると、2019年には少なくとも2社の機器メーカーがそのような種類のPCを出荷する計画だという。一方、Intelは、セルラーモデム事業を拡大する取り組みの一環として、中国のSpreadtrum Communications(以下、Spreadtrum)と5G SoC(System on Chip)の設計で提携することを発表した。Intelの5Gモデムをベースに、ハイエンドおよびミッドレンジデバイス向けのチップセットシリーズを、今後数年にわたり共同設計するという。同チップセットは、2019年後半の出荷を予定している。なおIntelは、適用するプロセスノードやファウンドリーについて、詳細は明らかにしていない。
セルラーモデムチップを搭載しているPCの台数は少ないのが現状だ。だがIntelは、ギガビット/秒クラスの通信が可能になる5Gによって、セルラーモデムチップを搭載したPCが、全体のPCの台数に占める割合が、2桁まで高まると見込んでいる。さらにIntelは、Spreadtrumと共同開発する5G SoCが、5G市場をけん引することを期待しているという。
Dell、HP、Microsoftは、Intelの協力の下、Intel製の5Gモデムチップ「XMM 8060」を搭載したPCを2019年内に出荷する計画だ。Intelのネットワーク部門でゼネラルマネジャーを務めるSandra Rivera氏は、プレス発表会で「PCへのセルラーモデムチップの搭載率は非常に低く、1桁にとどまっている。だが、常にギガビット/秒クラスで通信できるようになれば、搭載率は、今後3〜5年で2桁まで高まるだろう」と述べた。
Rivera氏は「市場では、豊富な帯域幅で高品質なユーザー体験をもたらす常時接続性が強く求められているが、手頃なコストでそのニーズに応えるネットワークを実現する必要がある。われわれは、5G対応のPCを含め、新たなフォームファクタの市場を視野に入れている」と述べた。
IntelのライバルであるQualcommは2017年末、、HPとAsusがLTE対応のWindows 10 PCに、Qualcomm製のSoC「Snapdragon」を採用したことを明らかにした。Qualcommは、Microsoftも上記のパートナーに加わったことも発表している。Microsoftは2018年6月に、中国や米国を含む6カ国で、販売店を通じ、同PCの販売を開始する計画だという。
他のベンダーと同様に、IntelがMWCで発表するプロトタイプPCにも、「5G NR(New Radio)」規格に準拠するFPGAが組み込まれている。5G NRは2017年12月に策定が完了した。5G NR対応のチップは、2018年後半に出荷が開始されることが見込まれている。MWC 2018のデモでは、基地局メーカーのHuaweiと共同で行う相互運用性に関するデモの一環として、5Gを使った動画ストリーミングの様子が披露される予定である。
Intelは、セルラーモデルのPCでのデータプラン管理に「eSIM(embedded SIM)」を使用する計画だという。一方のArmは、「iSIM」という組み込みSIMを将来的にコアに搭載させていく計画を発表した。iSIMには、Armが2017年に買収したSimulity Labs製のデバイスとサーバソフトウェアが用いられており、リソースに制約のあるIoT(モノのインターネット)機器を主なターゲットにしているという。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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