情報通信研究機構(NICT)らは、横須賀市にハイブリッドLPWAテストヘッド(試験環境)を構築し、2018年4月より横須賀テレコムリサーチパークがサービスを始める。スタート時は「Sigfox」「LoRa」「Wi-SUN」の3方式について、同時に同一条件で検証することができる。
情報通信研究機構(NICT)や横須賀テレコムリサーチパーク、横須賀市らは2018年3月、消費電力が小さい長距離無線通信技術「LPWA(Low Power Wide Area)」の主要3方式を同時に利用できるテストベッド(試験環境)構想をまとめた。この構想に基づき、横須賀市にハイブリッドLPWAテストヘッドを構築し、2018年4月より横須賀テレコムリサーチパークがサービスを始めると発表した。
ハイブリッドLPWAテストヘッドの構築には、NICT、横須賀テレコムリサーチパーク、横須賀市の他、スマートIoT(モノのインターネット)推進フォーラム技術戦略検討部会テストベッド分科会、YRP研究開発推進協会WSN協議会、京セラコミュニケーションシステム、さくらインターネット、アンリツエンジニアリングが参画している。
IoTの普及により、インターネットにつながる機器は膨大な数になると予測されている。接続手段の1つとして注目されているのがLPWAネットワーク技術である。ところが、LPWAは複数の方式が存在するため、IoT機器メーカーは無線通信方式の選択からモジュールの開発、システム検証などに多大な労力や時間を費やしていた。
今回構築したテストベッドは、「Sigfox」や「LoRa」「Wi-SUN」という代表的な3種類の方式に対応しており、これらを同時に同一条件で技術実証や社会実装を行うことが可能となった。
具体的には、第1ステップとして横須賀市役所とYRPセンター1番館の屋上に、SigfoxやLoRa、Wi-SUN方式に対応する基地局を設置。市内5カ所に疑似センサーを置き、同一の環境と条件でデータを収集し、地形や気象条件などの違いによって生じる通信方式ごとの通信特性や通信品質などを検証する。利用者の子機をテストベッドの基地局に収容することも可能だという。
2018年9月以降を想定している第2ステップでは、横須賀市内全域をカバーするための基地局設置、サポートするLPWA方式の拡充、利用者が持ち込んだ機器での実証実験、ハイブリッドクラウド環境の検討、さらにはCATVやドローン、防災との連携なども検討していく予定である。
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