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シャープ、ディスプレイとNFCアンテナを一体化直観的に支払いや認証が可能に(1/2 ページ)

スマホや交通系ICカードをディスプレイにかざすことで、料金の支払いや個人認証を簡単に行えるNFCアンテナ搭載ディスプレイをシャープが開発した。

» 2018年04月06日 09時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

 シャープは2018年4月5日、透明なNFC(近距離無線通信)アンテナを搭載したディスプレイを開発したと発表した。NFC対応のスマートフォンやICカードをディスプレイ画面に近づければ、料金の支払いや個人認証を簡単に行うことができる。

NFCアンテナ搭載ディスプレイを自販機に搭載した例 出典:シャープ

 開発したディスプレイは、メタルメッシュ技術を応用して開発した透明NFCアンテナを画面上に設置。これまで別々だったディスプレイとNFCカード読み取り装置の機能を一体化した。アンテナの性能は、一般的な規格で定められた2.5cmの通信距離に対応しつつ、アンテナ層の光透過率は80%以上を確保したという。メタルメッシュ技術は、タッチパネルにも利用されており、目に見えないレベルの細い線で配線を行うことで光透過率を高める技術である。この技術を初めてアンテナに応用した。

NFCアンテナの透明化 出典:シャープ

 ポジションフリー技術も新たに開発した。この要素技術とは、ディスプレイ全域でNFC対応機器を検知するための「電極レイアウト」技術、アンテナ線を適切に切り替える「スイッチング回路」技術、位置検出やアンテナ配置のための「アルゴリズム」技術である。これらの技術により、ディスプレイの全領域に複数個のNFC対応機器を同時に近づけても、全て検出し通信することができるという。

ポジションフリーの要素技術 出典:シャープ
ポジションフリーの通信性能 出典:シャープ
ディスプレイデバイスカンパニー開発本部の本部長を務める伊藤康尚氏

 同社ディスプレイデバイスカンパニー開発本部の本部長を務める伊藤康尚氏は、「NFCアンテナを一体化できる画面サイズはスマートフォンクラスから、現状は最大42型である。これ以上の画面サイズでも対応できる技術を開発中」と話す。また、NFCアンテナ技術について、「原理的にはLCDだけでなく、電子ペーパーなどさまざまなディスプレイに搭載することが可能である」という。また、数十台のNFC対応機器を同時に認識できることは、これまでに確認しているという。応答速度も1秒以下であり、「操作している人がストレスを感じることはないだろう」と述べた。

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