実施している5つの施策について針田氏は「ドイツと日本では、地理的な距離や文化の違いがある。そうした距離や違いを埋める、橋渡しすることを目的にした施策を実施している」とする。その1つの取り組みが、日本でのデザインセンターの設置だ。「日本の顧客は、現在、世界的なトレンドとなりつつある製品のカスタマイズへの要求が古くから強く、先進的なカスタマイズを必要とする。そうした日本の要望に応えるため、これまでは米国やイタリアのデザインセンターで対応してきたカスタマイズを日本国内で対応できるようにし、より迅速に要求に応えるようにする」という。まもなく稼働を開始する日本のデザインセンターでは、可変速度モーター制御向けIPM(インテリジェントパワーモジュール)製品「iMOTION」のカスタマイズを実施していく計画。「iMOTIONは、集積度が高い上に、ソフトウェアによるカスタマイズ性に優れた製品であり、顧客からも高い評価を得ている。日本で迅速にカスタムソフトウェアを開発し、顧客要求に応えたい」という。
また針田氏は、「フレキシビリティの高いパワーモジュール『Easyファミリ』などについては、ヴァールシュタイン(ドイツ)での拠点でカスタマイズ対応するが、日本との連携を強め、より迅速に要求に応えられるような体制作りを進めている。また、製品に関するデータを迅速に提供できるような体制構築など、国内顧客の固有のニーズに応える体制を、ドイツ本社と連携し、構築している。現在、こうした施策により、国内で今後、年率二ケタパーセント以上の売り上げ成長を実現できる土台が整いつつある」と語る。
Wawer氏は、日本でのシェア向上に立ちはだかる日系パワー半導体メーカーについて「技術革新面で強みを持っている」と評価する一方で、「Infineonは、設備投資を積極的に行い、大きな供給能力があるという強みがある。さらに、三菱電機、富士電機といった日本の競合とは異なり、独立した半導体メーカーであり、顧客のビジネスと競合しない位置にある。こうした強み、違いを生かしていけるだろう」とした。
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