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インフィニオン、300mmウエハーでのIGBT量産を2014年中に実施へパワー半導体

インフィニオン・テクノロジーズは、300mmウエハーによるIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)の量産を2014年中に開始する明らかにした。量産当初は最大1200V耐圧の家電向け製品を展開し、早ければ産業向け製品も2015年から量産する予定だ。

» 2014年09月25日 10時13分 公開
[竹本達哉EE Times Japan]

 インフィニオン・テクノロジーズは、300mmウエハーによるIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)の量産を2014年中に開始すると、2014年9月24日にドイツ・ミュンヘンで行ったEE Times Japanなどとのインタビューの中で明らかにした。まず、耐圧1200VまでのIHクッキングヒーターや電子レンジ、太陽光発電インバータ向けのディスクリートIGBT(第3世代RC-D IGBT)の量産を行う予定だ。


順調に立ち上がる300mmでのパワー半導体生産

パワー半導体を加工した300mmウエハー。薄く加工しているため、容易にたわむ。そのため、取り扱いが難しく製造が困難な要因の1つとなっている (クリックで拡大)

 IGBTなどパワー半導体の製造は、ウエハーを薄化する工程が不可欠で、メモリやロジック半導体に比べ、大口径ウエハーでの製造が難しいとされ、現状、150〜200mmウエハーでの製造が主流だ。

 その中で、インフィニオンは2011年から300mmウエハーを用いたパワー半導体の試作生産を開始し、2013年からは、ドイツ・ドレスデンの300mmウエハーラインを用いてスーパージャンクション構造を用いたパワーMOSFET(CoolMOS)などの本格的な量産をスタート。同社では、「パワー半導体の300mmウエハーでの量産はドレスデン工場が世界初」(同社)としている(関連記事:Infineonが、300mmウエハーを用いたパワー半導体チップの生産を開始)。

 2014年中に量産すると明かしたIGBTはパワーMOSFETよりも構造が複雑で、製造が難しいとされる。

産業向けIGBTも順調なら2015年中に製造へ

高耐圧半導体事業を統括するHelmut Gassel氏

 300mmウエハーによるIGBTの生産は当初、主に白モノ家電向け製品に限られるが、高耐圧パワー半導体事業を統括する同社President Industrial Power Control DivisionのHelmut Gassel氏は、「家電用途は、設計から量産までの期間が短いこともあり、産業用途向けに先行して量産することになった。産業用途向けについても、家電向け製品の投入後の評価などが順調であれば、2015年中にも生産を始める」とする。

数年内に1チップ当たり20〜30%の製造コスト低減を実現へ

 300mmウエハー製造による生産効率の向上について同氏は、「生産ライン立ち上げ当初は、ウエハー面積の増加分と同じだけの効率アップは難しいが、徐々に効率はアップしてきている。数年内に、(200mmウエハー生産に比べて)1チップ当たり20〜30%程度の製造コスト低減を実現できるだろう」との見通しを示した。

 なお、自動車向けパワー半導体の300mmウエハー製造時期については、「数年内に始まるだろう」(President Automotive Division Jochen Hanebeck氏)とした。

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