内部には通信用チップ、パワーアンプ、プロセッサ、メモリ、センサーなど多くのチップがひしめくように実装されている。図2はXPERIA XZ2 Premiumに搭載されるQualcomm製チップの一部である。これらチップは通信用パワーアンプやダイバーシティ関連機能を果たす通信モジュールだ。
Qualcommは長年通信チップとしてデータ処理を行うベースバンドやラジオ信号処理を行うトランシーバなどを提供してきたが、本機種ではその先のパワーアンプモジュールまでを自社セットに含んできた。この通信アンプモジュールは、米SkyworksやQorvo、村田製作所などのメーカーが得意とする領域であり、その多くはQualcommチップセットと組み合わされて採用されている。しかしXPERIA XZ2 Premiumではそのパワーアンプ領域までQualcommのチップセットを採用しているわけだ。低成長期に入ったスマートフォン市場で、規模を拡大していくためには、さらにチップセットのカバー範囲を広げ、他メーカーの陣地を奪うのは正しい戦略だ。Qualcommはチップセットにパワーアンプ群も加えることで他社の陣地を奪い、自社チップの領土を広げている。これらを含め、XPERIA XZ2 Premiumで使われるチップの実に50%強がQualcommチップとなっている!!
メモリ、センサー以外はほぼQualcommチップだといってもよいほどだ。スピーカー用のオーディオアンプもQualcomm製だ。しかしそんな中、カメラ周りにソニー製の新プロセッサが燦然(さんぜん)と搭載されている。図3は、内部基板とカメラ配置位置の関係および、ソニー製カメラ画像融合プロセッサ「AUBE」とメインプロセッサであるQualcomm製「Snapdragon845」の関係である。
2基のカメラ(片方は19MピクセルのRGBセンサー、もう片方は12Mピクセルのモノクロセンサー)がAUBEに直結している。AUBEは2つのセンサーからの画像をリアルタイムに合成し、極めて感度の高い画像を生成する。
こうしたプロセッサを作れるのも、CMOSイメージセンサーを熟知したソニーならではだと言えるだろう。
AUBEの結果は画像処理を必要とするメインプロセッサに送られる。テカナリエでは現在AUBEを開封し、内部の回路を読み取っているところである。一眼レフカメラに使われるソニーのプロセッサ「BIONZ」と比べるなど、あらゆる角度からAUBEを解析しているところだ。こうした画像合成技術はスマートフォンのデュアルカメラばかりでなく、車載向けADAS(先進運転支援システム)やロボティックスなど、多くの応用用途があるだろう。AUBEとCMOSイメージセンサーがセット化されることは、入り口側のチップセット化による差別化にもつながっていく可能性があるものと捉えている。
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