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口に出せない介護問題の真実 〜「働き方改革」の問題点とは何なのか世界を「数字」で回してみよう(53) 働き方改革(12)(4/10 ページ)

» 2018年11月30日 11時30分 公開
[江端智一EE Times Japan]

取り組むべき課題は2つ

 さて、この介護問題を、「働き方改革」の視点から見れば、取り組むべき課題は、明快です。(1)健康寿命の拡張、(2)被介護期間の短縮に関する施策です。

 もっと、はっきりと言うのであれば、

死の直前まで健康を維持し、その後、最短期間で死ね

です。

 これは、政府としては、絶対に口に出して言えないことです。これを政府方針として記載すれば、間違いなく、内閣は倒れ、政権与党が入れ替わることでしょう。

 これらの課題は明らかなのですが、どんなに調べてもその解決手段を見つけられないのです。書籍なども調べてみたのですが、現時点で、世界中の人が、上記の2つの課題を明言することすらためらっている状態です。

 さらに、(1)健康寿命の話は、生活習慣病と密接な関係のある「酒」「タバコ」の問題に発展し、(2)介護期間短縮は、尊厳死問題の論争に発展するという、面倒なことになっているのも一因です。

 課題の明確化ためらっているくらいですから、当然その解決手段に対する検討が議論にならないのは当然です。大きな図書館に出向き、ネットでいろいろと調べても、この問題を真正面から論じている論を見つけられませんでした。これには、私もほとほと困り果てました。

 仕方がないので、私は自分なりのアプローチ(エンジニアリングアプローチ)で、自分なりの仮説を捻り出してみることにしました。

 最近の私は、課題だけ(あるいはコンセプトだけ)書き出して、仕事やった気になっている奴らに、心底腹を立てていますので、私だけは、私なりの考え方を ―― 内容ヘロヘロで、論理が稚拙で、検討が不十分であったとしても ―― 私自身のためだけに(他人のことは知ったことではない)スペックアウトしてみました。

フェーズA:リタイアするな、働き続けろ

 まず、「フェーズA:65〜70歳(5年)」の対応から考えてみました。

 一言で言えば、「リタイアするな。どんな仕事でもいいから働き続けろ」です。考え方のベースは前述した、「活動理論(レモン1972)」です。

 活動理論においては、誰かから「ありがとう、助かったよ」と言われ続けることがとても重要です*)

*)私のコラムへの感想も「ありがとう、助かったよ」だけにしてください。私は「自分を高めよう」という向上心は1mmもないので、(仮にそれが私の為であっても)批評、批判のたぐいは一切不要です。

 「ありがとう、助かったよ」が、本物かどうかを判断する手段としては、報酬(つまり"金")が分かりやすいです。報酬がからめば、その仕事に対して無責任になれないという気持ちも働きます(もっとも、その律義な資質で、多くの人がうつ病や過労死に追い込まれているのも事実ですが)。

フェーズB:拠点をネット空間に移せ

 つぎに「フェーズB:70〜75歳(5年)」について考えてみました。

 このフェーズでは、「日常生活には問題はないが、労働するのは難しい」と位置付けております。ですので、もっぱら、報酬を得られる個人ビジネス、または他人との交流を主体に置いています。

 まあ、見方によっては、「引きこもり(高齢者バージョン)」といえるかもしれませんが、社会的問題としては「引きこもり(ティーンエージャー)」「引きこもり(中年層)」よりは、軽微かと思います。

 ITリテラシーが課題となることは分かっていますが、もう、私、これ以上、他人のITリテラシーの欠如を、私が考えるのは止めることにしました。もう正直、『知ったことか』と開き直っています著者のブログ)。

 もちろん、IT関係以外の活動であっても構いません。町内会などのイベントの主催側になるとか、そのような非営利活動も良いと思います。

 ちなみに、私は、(a)メールで連絡が取れて、(b)Webで情報が共有できて、(c)イベントの度に「飲み会」をやろうと言い出す人物がおらず、(d)人間関係を気にせず、理路整然としたロジックで会話できる、そんな町内会のイベントなら、喜んで参加します。

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