さて、次は、「フェーズC:75〜85歳(10年)」の期間をいかに短縮するかを検討してみましょう。
私の考えは非常に明快です(明快すぎて、バカじゃないのと言われるかもしれません)。その方法は「健康寿命の限界まで生きる」です。
これは、長生きすればするほど、死亡率が指数関数的に高まるという、統計上の事実に基づきます。また、老齢に至っても勉強や運動を続けることで代謝を高めれば、細胞分裂の回数の限界値に達しやすくなります(例:テロメアによる細胞分裂の限界数)。
違和感を覚えるかもしれませんが、上表の各種の学説を私なりにまとめれば、「健康に最大限留意して、毎日を元気ハツラツで、むやみに長生きすることこそが、被介護期間を最短として死に至る最適戦略である」という仮説が成立するのです。
難しいのは、この戦略の実行責任者が、政府でも、家族でもなく、個人(つまり私)であるということです。
まず、高齢時期を、元気ハツラツで生き抜くというのは、もうそれだけで絶望的に難しいだろうと思えます。そうでなくとも、高齢期は、伴侶や友人の死を見届けてなお生きなければならない時期でもあり、加えて、体力、知力ともに劣化し続けている状態にあるのです。
ここで自分に生きぬくモチベーションを見いだせと言われても、正直、困ってしまうでしょう。「死ぬために、がんばって生きるぞー。エイエイオー!」と、自分の心をダマし……もとい、鼓舞し続けていられるかが、大きな課題になると思います。
その他では、以下のような延命治療の拒否などが上げられます。
認知症のフェーズに入ってしまうと、自分の意思表示ができなくなるので、今から周到な準備をしておくことが必要となるでしょう。
さて、ここまでは、私の、私による、私のためだけの、"高齢時"および"介護"の検討だったのですが、この私の戦略は、「働き方改革」の施策の一つにならないかと、考えています。
以下は、前回のコラムで使った厚生労働白書(概要版はこちら)からの引用です。
上記の「働け! 高齢者!!」の部分は、前述した、私のフェーズAの戦略と同じです。もちろん、厚生労働白書では、「健康寿命の拡張」「被介護期間の短縮」などという目的はなく、単に、労働力不足を補うことを目的としています。
では、もし、高齢者を労働力として参入させることができたら、どのくらいの労働力を確保できるのでしょうか。
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