そこで、現在の労働者人口の比率のデータ部分をハッキングして、私のシミュレーターに突っ込んでみることにしました。
具体的には、45歳以上の男性、女性の労働者人口比率を5年単位で高齢者側に引き延したデータを使って、そのまま労働人口がどのように変化していくのかを調べてみました。
その結果は以下の通りとなりました。
結果としては、労働期間を5年延ばすと、500万人の労働力の増加が期待できることが分かりました。つまり、労働期間1年の延長で100万人を確保できるメドがつくわけです。
まあ、現在の定年退職が60〜65歳くらいと考えてみて、これが10年延びるとしたら、「70歳のサラリーマン」が日常になるわけです。しかし、私が町内(会)を見ている限り、「70歳のサラリーマン」がそれほど問題になるとも思えません。近年の長寿化は、"労働寿命(江端の造語)"も上げていることは間違いありません。
―― 使える高齢者は、使い倒せ
多分、この乱暴な一文は、国家にとっても、家族にとっても、そしてその本人にとっても、『幸せ』になれる可能性があると思えるのです(私の嫁さんは反対するかもしれませんが)。
しかし、高齢者を労働力として動員したとしても、その労働人口は年々減っていきます。これは、日本の人口が減っていくのだから仕方がありません。
それでも、日本の総人口に対する労働人口の比率を維持できていれば問題はありません。下図は、その計算結果を示したものです。
残念ながら、労働人口比率は、どのような"労働寿命"においても微量ながら減少を続けます。これは少子化社会においては避けられない問題です。加えて、高齢者は死亡率が高いという問題もあります。
それでも、高齢者が働いてくれる社会は、そうでない社会よりも相対的には労働人口比は良くなってはいるのです。上記の赤線は、その比率を算出したものです。
高齢化社会は深刻な社会問題ではありますが、高齢者を労働力として使えるのであれば、高齢化万歳! と叫べる状況を生み出せる可能性が、まるっきり夢物語とは言えないのです ―― 計算上は。
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