東北大学大学院工学研究科の中村健二教授と松尾製作所らの研究グループは、新構造の駆動モーター用回転角度センサーを開発した。次世代のZEV(Zero Emission Vehicle)などに向けたもので、主要構成部材である電磁鋼板の使用量を大幅に節減することで、車両の軽量化を可能とした。
東北大学大学院工学研究科の中村健二教授と松尾製作所らの研究グループは2018年12月、新構造の駆動モーター用回転角度センサーを開発した。次世代のZEV(Zero Emission Vehicle)などに向けたもので、主要構成部材である電磁鋼板の使用量を大幅に節減することで、車両の軽量化とエネルギー効率の向上を可能にした。
電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)では、エネルギー効率の改善に向けた開発が続けられている。主な構成部品である駆動モーターユニットや電池を軽量化する取り組みもその1つである。研究グループは今回、駆動モーターユニットに用いられるモーター用回転角度センサーの構造に着目した。
従来の回転角度センサーは、電磁鋼板を積層させて磁場の経路とする構造であった。これに対して研究グループは、電磁界解析で磁場の経路を可視化した。そうしたところ電磁鋼板1枚を曲げて円環状に配置しても、磁場経路が成立することを発見した。この結果、回転角度センサーを構成する電磁鋼板の使用量を、積層していた場合に比べて約76%も節減することに成功した。
研究グループは、開発した回転角度センサーを実際のEV駆動モーターユニットに組み込み、ベンチ評価を行った。この結果から、モーターのトルクと回転数において、従来製品と同等の出力を得られることを確認した。今回は無方向性の電磁鋼板を用いたが、圧延方向の透磁率が大きな方向性電磁鋼板を用いることで、より高い出力を得られる可能性があるという。
研究グループによれば、今回の成果はZEVのみならず、医療機器や産業ロボットなどにも適用でき、機器の軽量化やエネルギー効率の改善につながるとみている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.