ON Semiconductorは、ドイツ・ニュルンベルクで開催中の組み込み技術の展示会「embedded world 2019」(2019年2月26〜28日)で、クラウドベースの設計サポートツール「Strata(ストラタ) Developer Studio(以下、Strata)」のデモを展示した。
ON Semiconductorは、ドイツ・ニュルンベルクで開催中の組み込み技術の展示会「embedded world 2019」(2019年2月26〜28日)で、クラウドベースの設計サポートツール「Strata(ストラタ) Developer Studio(以下、Strata)」のデモを展示した。
Strataは同社の開発/評価ボードを使って設計するエンジニア向けのツールで、SaaS(Software as a Service)として提供される。StrataをインストールしたホストPCにボードを接続すると、Strataがそのボードを自動的に認識し、部品情報やレファレンス設計、プロジェクト情報など、ボードにひも付くあらゆる関連資料が入手可能になる。加えて、ボードの使用に必要な設計情報が自動でダウンロードされる。重要なのは、これらの情報が常に最新かつ正確であるということだ。関連資料は全てクラウドに保存されていて、変更があった場合はすぐに最新のバージョンにアップデートされる。
ON Semiconductorのソフトウェア担当ディレクタ兼StrataのチーフアーキテクトであるIan Cain氏は、「設計において、調査や評価のプロセスでは、Webサイトで膨大な量の資料を検索したり、ソフトウェアをダウンロードしたりする作業に数日から数週間かかる。その上、こうした情報は、ダウンロード後にはPCのローカルに保存されるので、当然、ダウンロード時のバージョンのまま更新されない。Strataは、こうした問題を解決するために開発されたツールだ」と説明する。
設計や評価に必要な情報を包括的に、1カ所(Strata)から入手できるので、「とにかく時間を節約できる」とCain氏は強調する。実際に、デモでは、必要な情報をわずか数分で入手できていた。
現在、Strataに対応する開発ボード(Strataが自動認識し、最新の関連資料をダウンロードできるボード)は、「構成可能な多機能ロジック・ゲート」「デュアル100W USB-PD車載チャージングシステム」「ユニバーサル・オフライン200W 4ポートType-C USB-PDソース」など6〜7種類だが、段階的にStrata対応のボードを増やしていく。「2019年夏までには、30〜40種類のボードをStrata対応になる予定だ。将来的には、ON Semiconductorの全てのボードがStrata対応になる」(Cain氏)
Strataは、ON Semiconductorのサイトから無償でダウンロードできる。月額の使用料などが発生するツールではない。ツールのマネタイズについて、Cain氏は「Strataがあることで、われわれのボードを使いやすいと思ってもらえれば、そのエンジニアは当社の製品を購入し続けてくれるようになると確信している。それによって、Strataは当社に利益をもたらす」と話した。
Cain氏は、Strataを「エンジニアによる、エンジニアのためのツール」だと強調する。Cain氏は約20年の経験を持つベテランエンジニアだが、これまで開発ボードを使う際に感じてきた不満な点や不便な点、課題、失敗などを解消できるようにStrataを作り込んだ。「自分だったらこんな機能が欲しいと感じた点を詰め込んでStrataを開発したが、他のエンジニアも同様の課題を感じていると思う」とCain氏は述べている。
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