東京大学生産技術研究所と日本航空電子工業は2019年3月22日、産学連携研究協力協定を締結したと発表した。同協定に基づき、両者は今後3年間にわたって、次世代モビリティ、IoT(モノのインターネット)社会の実現および、研究開発人材の育成を目的に包括的な共同研究を行う。
東京大学生産技術研究所と日本航空電子工業(以下、航空電子)は2019年3月22日、産学連携研究協力協定を締結したと発表した。同協定に基づき、両者は今後3年間にわたって、次世代モビリティ、IoT(モノのインターネット)社会の実現および、研究開発人材の育成を目的に包括的な共同研究を行う。航空電子が技術者3人を東大生産技術研究所に派遣するとともに、航空電子が主に研究費として1億円を拠出して研究を進める。
共同研究は、航空電子が主に研究費として1億円を拠出した上で、航空電子の技術者3人を東大生産技術研究所に派遣する形で実施する。共同研究テーマはまず、「超小型・高密度コネクターの研究開発」「ウェアラブルデバイス/センサー関連技術の研究」「ADAS(先進運転支援システム)向け先進的HMI(ヒューマンマシンインタフェース)の研究」の3つから実施する。東京大学生産技術研究所側は、変形加工学の古島剛准教授、多機能集積半導体システム工学の高宮真准教授、機械生体システム制御工学の中野公彦教授が主要メンバーとして共同研究に参加する。
「超小型・高密度コネクターの研究開発」では、モールド製法やプレス製法といった既存製法で難しくなっているコネクターの小型化、高密度化を実現するため、金属フォーミングやポリマー材料の新機能研究を通じ、既存製法の限界を打破することを目指す。「2年後には、何らかの成果を生み出したい」(航空電子)とし、当初取り組む3つのテーマの中でも、最も早期での成果創出を見込む。
「ウェアラブルデバイス/センサー関連技術の研究」では、エネルギーハーベスティング(環境発電)技術などを応用し、衣類や皮膚に装着可能なパッシブ型生体センサーなどの開発を実施していく予定。「身に付けるには、フレキシブル性が要求されるため、“曲がるコネクター”などの技術も必要になるだろう」(航空電子)とする。
「ADAS向け先進的HMIの研究」では、温度やノイズなど自動車特有の厳しい環境下で、生体信号を扱うための信号処理技術の開発を通じ、人とクルマをつなぐHMIの開発を実施していく。
航空電子社長の小野原勉氏は、「当社は2020年代に向けた成長ビジョンとして、5G(第5世代移動通信)でつながる次世代モビリティ、IoT社会の実現と発展に“情報をつなぐ”“人と機器をつなぐ”技術で貢献することを掲げている。今回の東京大学生産技術研究所との連携は、この成長ビジョンで掲げる“つなぐ”を進化させることが目的の一つ。いずれの共同研究テーマも、これまで社内で研究開発を進めてきたが、まだまだ多くの技術課題を抱えていた。今回の連携で、ブレークスルーを起こしたい」とした。
なお、今回の協定は、3年間の期限を定めているが、両者によると3年後以降も共同研究を実施する予定であるという。また研究内容についても、当初の3つの共同研究テーマの進展具合や環境の変化に応じて、新たなテーマを柔軟に追加していくとしている。
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