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» 2019年06月21日 09時30分 公開

5Gではデバイスのテストも変わる、「OTA」が重要に半導体/部品メーカーの新たな課題(2/2 ページ)

[Alejandro Buritica(National Instruments),EE Times Japan]
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巨大な電波暗箱は要らない

 エンジニアがOTAテストソリューションについて話す時、ソリューションに必要な要素として必ず挙がるのが電波暗箱だ。外界からの干渉が極めて低いRF環境を提供する電波暗箱(無響、CATR、または反響タイプ)は、特性評価、設計検証、コンプライアンス、コンフォーマンステストについて、設計が全ての性能および規制要件を十分な余裕と再現性を持って満たしていることを確実する。その一方で、量産時には従来の電波暗箱は生産現場の多くのスペースを占めるだけでなく、デバイスハンドラーの搬送が難しくなり、テストコストをいたずらに増大させてしまう可能性がある。

 こういった問題に対処するために、アンテナが統合された小型のOTA対応ICソケットが市販され始めている。これにより、半導体デバイスのOTAテストを電波暗箱よりもはるかに小型な装置で行えるようになっている。

 ソケットに実装されている計測用アンテナは、DUTのICから数センチメートル離れているが、各アンテナ素子の遠方界計測には十分な距離だ。小型のソケットが活用できることで、同時測定を行えるようにしてテストスループットの高速化を図れるだけでなく、OTAテスト時の懸念事項の一つである信号電力損失も最小化できる。ただし、計測用アンテナとDUTとの間隔が数センチメートルしかないために、一般的には10cm以上の間隔を必要とするビームフォーミング適用状態での計測が困難であることには留意されたい。

 一方、ビームフォーミングを前提に遠距離での計測を行う場合にも課題が存在する。28GHzでは、10cmの同軸ケーブルを通過すると約1dB減衰する。一方、OTAテストの場合、10cmの自由空間伝搬によって30dB減衰する(5dB利得アンテナ使用時)

 受信側のIP3(3次インターセプトポイント)測定を考える場合、OTAテストでは、同軸ケーブルで接続する場合よりも、送信アンテナにおいて30dB高い出力に対応するテストシステムが必要となる。これは、電波暗箱を用いたOTAテストの課題となる。一方で、計測用アンテナとDUTとの間の距離が数センチメートルのOTAソケットを用いる場合、必要な送信電力の要件はそれほど重大にはならないだろう。

National Instrumentsが2019年5月に発表した「ミリ波ベクトル信号トランシーバー」

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