ソフトバンクグループ会長兼社長、孫正義氏は2019年7月17日、東京都内で実施した企業向けイベント「SoftBank World 2019」の基調講演で登壇した。孫氏はAIによるイノベーションの展望に触れたうえで、「日本はAI後進国になった。手遅れではないが、1日も早く目を覚ましてキャッチアップしなければならない」と訴えていた。
ソフトバンクグループ会長兼社長、孫正義氏は2019年7月17日、東京都内で実施した企業向けイベント「SoftBank World 2019」で、基調講演を行った。登壇した孫氏は、AI(人工知能)によるイノベーションの展望に触れたうえで、「日本はAI後進国になった。手遅れではないが、1日も早く目を覚ましてキャッチアップしなければならない」と訴えていた。
同社は、「AI群戦略」として、SoftBank Vision Fund(ソフトバンクビジョンファンド)を通じ、AI関連のサービスを提供するユニコーン企業に重点的に投資している。これまでの投資先に日本企業がないことについて、孫氏は、「日本にはAIのユニコーンがない。投資したくてもチャンスがない」と説明。さらに、「日本はいつの間にかAI後進国になってしまった。ついこの間まで技術の最も進んだ国だった。ほんの数年間のうちに、特に一番大切な技術革命が起きているAI分野で、完全に後進国、発展途上国になってしまっている」と述べ、AIへの取り組みの遅れに危機感を示した。
また、「日本では、AIを中途半端にかじった評論家や学者が、『AIに何ができる』『AIに頼っちゃいけない』と言っているが、時代錯誤も甚だしい」と懐疑派の意見を一蹴し、「手遅れではないが、かなりやばい状況になっている。日本の政府、会社、知識人、ビジネスマンは、1日も早く目を覚ましてキャッチアップしなければならない」と強調していた。
そのうえで、孫氏は「日本が大好きで、貢献したいと思っているから。日本を愛しているからこそ、早く目覚めてこの進化に追い付き、追い越していってほしい」と付け加えた。現在のAI革命の段階は、「インターネットに例えると、25年前、ヤフーが生まれたばかりの時期」だといい、「その頃はまだ、FacebookもGoogleもなかった。Amazonは生まれたばかりで、Netflixもなかった。それを考えると、5〜10年過ぎて生まれた後、瞬く間に世界的な企業になった事例はたくさんある。手遅れではない。だが、目覚めなければやばい」と、改めて訴えていた。
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