東芝メモリは、読み出しレイテンシを5マイクロ秒未満に抑えたSLC(1ビット/セル)の超高速フラッシュメモリ「XL-FLASH」を発表した。最大8段の積層が可能な128Gビットチップのサンプル出荷を、2019年9月から一部顧客向けに開始する。量産は、2020年に開始する予定だ。
XL-FLASHは、16物理プレーン構造を採用し、DRAMやIntelの「Optaneメモリー」よりもコストを抑えたが、データ転送速度は両者ほど速くはない。なお東芝メモリは、2019年10月に「キオクシア(Kioxia )」に社名変更して、新たなスタートを切る。登壇した東芝メモリの大島成夫氏は、「私は”すしメモリ“に投票した」とジョークを飛ばしていた。
XL-FLASHは、OptaneやSamsung Electronicsの3D NAND型フラッシュメモリ「Z-NAND」と同様に、DRAMとNANDフラッシュの性能差を埋めることを目指している。XL-FLASHはまず、SSDに使われるが、将来的にはDRAMバス上のメモリチャネルデバイスとしても使われる予定だという。
中国・北京を拠点とするMemblaze Technologyは、XL-FLASHのパートナー14社のうちの1社で、XL-FLASHを搭載したSSDを最初に出荷する企業の1つでもある。同社の「PBlaze5 X26」SSDは、4K Mixed Read/Writeレイテンシは20マイクロ秒未満だという。
XL-FLASHはNANDフラッシュよりもダイが大きいため、より高価である。Objective AnalysisのHandy氏によると、XL-FLASHはNANDフラッシュよりも高速だが、IntelのOptaneには及ばないという。
これまでのところ、Intelは主にハイパースケーラーに1000万個近いOptane SSDを販売している。Handy氏によると、短期的な計画では、2023年に35億米ドル相当のOptane製品を出荷するとみられる。同氏は、「新興メモリ市場全体は2029年までに200億米ドルに達する」という予測を示したレポートの共同執筆者である。Optaneは、MRAM(磁気抵抗メモリ)とReRAM(抵抗変化型メモリ)以外に相当し、合計160億米ドルを売り上げると予想されるという。
東芝メモリは、XL-FLASHとは別に、外形寸法が14×18×1.4mmの新しいリムーバブルPCIe/NVMeメモリデバイス「XFMEXPRESS」を発表している(関連記事:「東芝メモリ、新型リムーバブルメモリデバイス開発」)。
さらに、東芝メモリとSK Hynixはそれぞれ、両社にとって初となるPCIe 4.0対応のSSDを発表した。最大4レーンまで使用できるという。東芝メモリは、「2020年には、性能が不十分なサーバから、Gen 4対応ドライブの導入が進んでいくだろう。その後、2021年にはノートPCで、そして2023年には、さらに厳密な検証を必要とするストレージシステムで、それぞれ導入されていくとみられる」と予測している。
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