新興企業Pliopsは、XilinxのFPGAカード上で動作するストレージアクセラレーターを発表した。2019年末までには出荷を開始する予定だという。今回のイベントでは、「コンピュテーショナルストレージ」の話題が注目を集めていたことから、Pliopsのストレージアクセラレータは、披露された数多くのアクセラレーターの中でもひときわ目立っていた。
Pliopsのアクセラレーターは、MySQLトランザクション向けの書き込み速度を約7倍に高めながら、CPUのストレージサイクルを半分開放することが可能だという。Facebookなどのハイパースケーラーが多用しているRocksDBなどのソフトウェアを、置き換えていきたい考えだ。
Pliopsはこれまでに、IntelやMellanox、Western Digital、Xilinxなどの支援企業から、4500万米ドルの資金を調達している。Pliopsの創設者の中には、Samsungがイスラエルに拠点を置くSSDコントローラー関連の設計チームにおいて、エンジニアリングマネジャーを務めた経歴を持つ人物が2人いるという。
Western DigitalとSK hynixの経営幹部たちは、「NANDフラッシュの性能を加速させる上で、次なる重要な方策となるのが、シングル磁気記録方式(SMR)のHDDやNVMeおよびSSDの新規格『ZNS(Zoned Namespace)』を適用したソフトウェアではないだろうか」と述べている。Western Digitalでデータセンター/デバイスマーケット担当ゼネラルマネジャーを務めるChristopher Bergey氏は、「ZNSは、仮想化を実現しながら、ストレージのオーバープロビジョニングを10分の1に削減することが可能だ」と語った。
Western DigitalとSK hynixはいずれも、今回のイベントにおいて、ZNS製品の試作版のデモを披露している。SK hynixにとって今回のデモは、SDやSSDコントローラー、ソフトウェアなど、同社のライバル企業が先に手掛けていた利益率の高い製品分野に参入していくための取り組みの一環だったようだ。SK hynixの経営幹部は、「ZNSは、データの断片化を抑えることにより、さまざまな種類の負荷の中で、SSDの製品寿命を最大67%延長し、QoSを最大25%向上させることが可能だ」と述べている。
中国のNANDフラッシュメモリメーカーであるYangtze Memory Technologiesは今回、米国と中国の間の貿易戦争をめぐる緊張が高まっていることを受け、イベントの基調講演への登壇を辞退したという。
同社は現在、ウエハーの生産能力が月産2万枚で、64層品のサンプル出荷を開始する予定だとみられているが、市場リーダー企業と比べると2世代分の後れを取っている状況にある。また、今回パネリストとして参加した中国の専門家は、「中国最大のDRAMメーカーであるChangxin Memory Technologiesは、8GビットのDDR4を2020年初頭にリリースすべく、検証を行っているところだ」と述べている。
【翻訳:青山麻由子、滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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