Moore氏はEE Timesに対し、「ここ1年で、ネットワーク事業者数の増加率は60%になり、約140カ国に120を超えるネットワーク事業者が存在するようになった」と述べた。同氏は、チップからゲートウェイ、アプリケーションサーバ、セキュリティに至るまで、十分に発展したエコシステムの必要性を強調した。Moore氏は「そのようなエコシステムがLoRaWANに成功をもたらし、今日のデファクトスタンダード(事実上の業界標準)を形作る」と述べた。
スマートシティーは最大の用途分野の一つであるが、Moore氏によると、LoRaWANはそれ以外にもスマートビルディング、農業、インダストリアルIoTといった数多くの領域に用いられているという。同氏は「LoRaWANが本格的に展開すれば、用途は世界中にあるので、投資利益率(ROI)が見えてきて、リソースを管理できるようになる。そうなれば、パーキングの情報から水質や大気環境の情報、交通情報に至るまで、同じネットワークに複数の種類の情報を追加できるようになる。LoRaWANのコスト削減を促進するユースケースは多数あるはずだ」と述べた。
Moore氏によると、IoTの最大の課題はその複雑性にあるという。同氏は「LoRa Allianceが大きな成功を収めたのは、LoRaWANを導入している、あるいはその実装の本格化を支援している500社以上の企業から成る巨大なエコシステムを有しているためだ。そうしたエコシステムこそが、LoRaWANの配備をよりシンプルにする。LoRa Allianceの参加企業は連携し、情報を共有している。また、従来、実際の配備は最終顧客にとって複雑なものであったが、LoRaWANではそうならないように取り組んでいる」と述べた。
Moore氏は、5GやWi-Fiといった他のネットワークや技術との連携が、IoTのマスマーケットを獲得する上で重要であると付け加えた。10年以上の長寿命バッテリー、何マイルもの距離、人工衛星が入り込めない過疎地というように、LoRaWANがその強みを発揮できる領域がある。LoRaWANは、コスト効率の高い配備が可能なネットワークである。そうした非常に明確な特性によって、われわれはIoTのマスマーケットのプレイヤーとなれる」と述べた。
Moore氏は、LoRa AllianceがWi-Fiや5Gをはじめとする他のネットワークや技術と連携するようになると述べた。同氏は「5Gは低遅延であることから、映像や緊急性の高いサービスに向いているが、それらはLoRaWANの領域ではない。将来的には、これら全てのワイヤレス技術を組み合わせて使用することで、あらゆるユースケースに対応できるようになるのではないか」と述べた。
【翻訳:青山麻由子、滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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