見守りサービスについては、最近、大きなトレンドがあります ―― 「ペットカメラ」です。
この製品は、自宅の常時接続のインターネットと、無線LANと、無線カメラと、スマホによって実現される、24時間体制の見守りカメラです。
いずれにしても、この「ペットカメラ」が、「高齢者向けの見守りカメラ」を目的としているのは、誰が見たって明らかです。
なぜ「ペットカメラ」などという、迂回名称を使っているかといえば、「プライバシー」「個人情報」「画像流出」などという面倒な問題を回避するためです。
これらの問題を回避するには、高度なセキュリティシステムの実装や、監視システム製品としての申請や登録、さらには運用管理マニュアルの作成、情報流出時の対応など、各種の面倒な手続が発生します。
下手すると、製品購入者にすら同様の書類提出の義務が発生することもあるかもしれません。ちなみに、私は研究所の実証実験で、これらの「地雷」を踏んできた経験があります(関連記事:「ご主人様とメイドはテレパシー通信をしている?」)。
しかし、問題は、ネットワーク環境です。
我が家では、「auひかり」と無線LANアクセスポイントが敷設されて、家の中であればどこでも無線LANが使えます(娘たちが、ノートPCとスマホで、映画鑑賞や音楽視聴に使い倒しています)が、これが世の中の一般の標準仕様であるかは分かりません。
少なくとも、私の実家(愛知)では、インターネットは影も形もありませんでしたし(一度敷設したのですが、誰も使わないので撤去しました)、嫁さんの実家では、「auひかり」はありましたが、パソコンから月に数回のメールのみという、残念な使われ方をしていました。
つまり、そのように考えれば、「高齢者向けの見守りカメラ」の設置環境は整っていない ―― という話を嫁さんにしたところ、
嫁さん:「逆だよ。逆。そのカメラを設置するためだけに、インターネット(と無線LAN)を実家に敷設したという話を、私、何人かの友人に聞いたよ」
と言われて、私はびっくりしました。「見守り」がインターネット敷設の理由になっているとは、思いも寄らなかったからです。
嫁さん:「ただ、『実家の親が、一日、じーっと座り続けているだけの画像が表示され続けているだけ』という話も聞いたけど」
……まあ、少なくとも、「見ていて楽しいコンテンツ」ではないでしょう。
先ほどの「あまりもうかっているようには見えない」の話に戻ります。
現状の、高齢者見守りの市場規模をざっくりと調べてみました。2012年の段階で、140億円/年程度ですので、現在では200億円程度にはなっていると思いました。
私の第一印象は「市場規模が小さい」です。どうしてそう感じたかと言うと、「介護の市場規模は10兆円」という記憶が残っているからです。
簡単な比較をするために、スマホやISPの市場規模(ざっくり値)と併せて表記してみます。
見守りサービスが、もうかっていないのは事実のようです。見守りサービスのインフラはインターネットであって、それは市場コストには反映されないし、前述したように、差別化できるようなサービスを作ることも難しいからです。
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