学習も推論もできるエッジAI「KAIBER engram」実演 : ET&IoT Technology 2019
ディープインサイトは「ET&IoT Technology 2019」(2019年11月20〜22日、パシフィコ横浜)で、学習と推論の両方に対応可能な、組み込み型エッジAI「KAIBER engram(カイバー エングラム)」のデモを公開した。
ディープインサイトは「ET&IoT Technology 2019」(2019年11月20〜22日、パシフィコ横浜)で、学習と推論の両方に対応可能な、組み込み型エッジAI「KAIBER engram(カイバー エングラム)」のデモを公開した。
KAIBER engramは、深層学習もIoT(モノのインターネット)端末側で行えるようにした組み込み型エッジAIで、同社が2019年11月18日から提供を開始したものだ。同社は第一弾としてAdvantech(アドバンテック)日本法人と協業し、IoTプラットフォーム「WISE-PaaS」対応の製品にKAIBER engramを搭載したエッジAI解析ソリューションを提供している。この日は、実際にアドバンテックのエッジコンピューティングデバイスを利用したデモンストレーションを紹介していた。
展示されたデモの様子。右下がアドバンテックのエッジコンピューティングデバイスで、左下の模型に取り付けられたモーターの振動を加速度センサーで計測し、KAIBER engramで処理していた(クリックで拡大)
KAIBER engramは、ディープインサイトが全てのコードを自社開発しており、Windowsや組み込みLinux、リアルタイムOS(RTOS)など多様な環境に対応可能なほか、GPUを搭載していないIoT機器などでも、リアルタイムに学習することができるという。実際にデモでは、デバイスに搭載されたIntelの「Core i5」上で動作をさせていた。ディープインサイトの代表取締役社長を務める久保田良則氏は、「高価なGPUを使わずとも高速に学習できるのがポイントの一つ。今回利用したものよりさらにローエンドのCPUでも対応可能だ」と説明していた。
デモでは、回転するモーターの振動を加速度センサーで計測し、そのデータをKAIBER engram上で学習しながら、推論によって予測値を示すという様子が紹介された。モーターの回転を障害物によって意図的に乱すと振動のデータが乱れ、予測値と解離した場合には「異常度」の数値が上がる様子が確認できた。久保田氏は、「実際の現場で応用する場合には、異常のパターンが少しずつ出てくるような形になると思うが、例えばそれが何秒か続けばアラートを出し、機械の動作を制御する、などの使い方になるだろう」と説明する。
最上部はアドバンテックのソフト上のセンサーからの入力データ。このデータをKAIBER engramが再度取り込み、学習している形になっている。真ん中の「Actual Input/Inference」の枠内では、濃い赤と緑の線が入力値で、薄い赤と緑の線がKAIBER engramの予測値だ。入力値と予測値の隔たりによって、その下の「Similarity」と「Degree of Abnormality」の値が上昇した(クリックで拡大)
事前設計した推論機能を機器に搭載した場合、設置場所や周辺の環境による振動パターンの違いや、利用頻度の違いなどによる固有の経年劣化によって精度のブレが生じた際に、データを再度収集し再学習する必要がある。久保田氏は、「KAIBER engramによって、現場で収集したデータは全て端末内でリアルタイムで処理でき、自律学習が可能だ」と説明。これによって、通信などのコスト削減のほか、高いセキュリティ性も実現できるとしている。
スマホでリアルタイムに骨格検出、省電力のエッジAI
Imagination Technologiesの日本法人イマジネーションテクノロジーズは「ET&IoT Technology 2019(ET展)」(2019年11月20〜22日、パシフィコ横浜)で、同社のニューラルネットワークアクセラレーター(NNA)を実装したSoC(System on Chip)搭載のスマートフォンで推論するデモを行った。
米Gyrfalconの超省電力AIチップ、12.6TOPS/Wを実現
米Gyrfalcon Technology(以下、Gyrfalcon)は、民生機器向けの新しいAI(人工知能)アクセラレーター「Lightspeeur 5801」を発表した。同社にとって第4世代のAIアクセラレーターとなり、既にLG Electronicsのミッドレンジスマートフォン「Q70」に搭載され、“ボケ”などのカメラエフェクトの推論処理に使われている。
ディープインサイト、組み込み型エッジAIを提供
ディープインサイトは、IoT端末側で学習と推論の両方に対応可能な、組み込み型エッジAI「KAIBER engram(カイバー エングラム)」のライセンス供給を始めた。
戦いの火ぶたが切られたエッジAI市場
人工知能(AI)は過去2年間で、世界的なメガトレンドへと変化した。機械学習は、消費者や自動車、産業、エレクトロニクス全般など、ほぼ全てに何らかの形で影響をもたらしている。さらに、私たちがまだ、うかがい知れない方法で社会や生活に影響を与えると思われる。
ラズパイ4は「産業用で魅力的」、広がる活用事例
シングルボードコンピュータなどの販売を手掛けるTechShareは2019年10月30日、日本Raspberry Piユーザグループとともに、「Raspberry Pi(以下、ラズパイ)」の産業利用に関する情報を共有するイベント「Raspberry Pi Industry User Conference 2019」を都内で開催した。【訂正あり】
スタートアップのIdeinがグランプリを獲得
組込みシステム技術協会(JASA)が「ET/IoT Technology 2019アワード」の受賞社を発表した。最高賞のグランプリはスタートアップ企業であるIdeinが獲得した。
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