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武漢の封鎖、主な中国企業への影響は?新型コロナウイルスの感染拡大(2/2 ページ)

» 2020年02月10日 13時30分 公開
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湖北省に拠点を持つ主な中国メーカーの状況

 EE Timesは、複数のメーカーにコンタクトを取り、現在の封鎖状況にどう対応しているのかを質問した。大半の企業が、コロナウイルス感染症による影響について、それほど重要視していないようだ。その理由を、「湖北省に企業登録していても、事業拠点を中国全土だけでなく海外にも分散しているためだ」と説明する企業もある。

Wingtech:分散化のおかげで影響を免れる

 モバイル端末などを手掛けるWingtechの企業登録地は湖北省黄石市だが、同社の主要工場は、海外や中国の他の都市に分散している。このため、湖北省の封鎖による影響はほとんど受けていないという。

 報道によると、Wingtechの海外工場は、春節(旧正月)中も稼働を停止しなかったという。中国国内の工場はもともと、2020年1月末に稼働を再開する予定だった。この中でも、浙江省嘉興市の工場は2020年1月30日に、また、江蘇省無錫市の工場は1月31日に、それぞれ稼働再開を予定していたという。現在のところ、同社の研究開発および製造業務に関しては、通常通り稼働しているようだ。

San’an Optoelectronics:中国各地に工場を保有

 San’an Optoelectronicは主に、ガリウムヒ素(GaAs)や窒化ガリウム(GaN)、炭化ケイ素(SiC)、リン化インジウム(InP)、窒化アルミニウム(AlN)、サファイアなどの新しい化合物半導体材料に関連した、エピタキシャルウエハーや半導体チップの研究開発/アプリケーションなどを手掛けている。

 同社の工場は、福建省の厦門市と泉州市に集約されている。湖北省鄂州市の新工場は、現在まだ建設中で製造を行っていないため、同社はコロナウイルス感染症による影響を、最小限に抑えられているようだ。

Wuhan Fingu:緊急事態への準備を整える

 Wuhan Finguは2020年2月3日(現地時間)、「春節緊急時対策を実施し、春節休暇中および休暇明けの製品配送に備えて、在庫引当を行い製品を確保したため、コロナウイルス感染症による困難な状況を切り抜けることができた」と発表している。春節中は、ごく少数の従業員が、時間外労働によって急ぎの注文の配送に対応したという。現在のところ、国内の物流管理/輸送、幹線道路による流通ルートなどは封鎖されていないため、同社はコロナウイルス感染症による混乱の影響をほとんど受けていないようだ。

CSOT:短期間の遅れ

 CL Groupによると、CSOT(China Star Optoelectronics Technology)は武漢に2つの工場を保有し、中小型ディスプレイの製造を行っているという。コロナウイルス感染症の影響で、一部の生産材料の供給に短期的な遅れが発生したが、同社は、主要なサプライヤー各社との間で次善の策を講じ、必要な材料を入手できるよう物流を調整したとしている。そのためには、製造/運用戦略を調整する必要があるという。

BOE:武漢での製造はまだ準備段階

 BOEの武漢工場は、10.5世代のTFT-LCD(TFT液晶ディスプレイ)の製造ラインを持ち、テレビメーカー向けに65型/75型の高解像度液晶パネルを製造している。しかし、まだ量産段階には入っていないため、ダウンストリームへの影響は限られている。

Corning:湖北省以外に工場を所有

 Corningのディスプレイ用ガラス基板は2019年に製造が始まった。同社は北京、重慶、合肥の3拠点に工場を所有しているので、同社のダウンストリームへの影響は、湖北省のみに限られるとみられる。

YMTCおよびXMC:「問題ない」

 YMTCの3D NANDフラッシュとMXCのNORフラッシュおよびCIS(CMOSイメージセンサー)チップは、特別な販路を用いて通常通り出荷されていると報じられている。両社とも、現時点では工場の閉鎖や出荷の遅れはないとされている。ただし、今後の感染拡大によっては状況が変わることもある。

HSMC:装置がないので、出荷もない

 HSMCは、新しい製造装置の入荷を待っているところだ。もしコロナウイルスの影響で装置の到着が遅れたとしたら、研究開発と製造に影響が出るだろうとしている。HSMCは、2020年第1〜第2四半期中に、装置の稼働がピーク期に入る予定だという。主に露光装置で構成される新しい装置は、既に設置が済んでいるものもあり、2020年3月以降に、さらに多くの装置が設置される予定となっている。

TKD Science and Technology:工場の消毒を行った

 TKD Science and Technology(以下、TKD)は2020年1月31日(現地時間)、水晶を手掛ける同社の子会社TKD Crystalが、ある重要な医療用デバイスメーカーから感染防止とコントロールのために緊急の発注を受け、早期に操業を再開したと発表した。TKDは直ちに蘇州市公安局に連絡を取り、許可を得て、TKD Crystalの工場の内外を消毒したという。TKDは労働力の再配置や製造能力の調整、迅速な出荷体制の構築を既に完了している。TKDは、製造を維持することを表明した。

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