ドイツの特殊化学品メーカーLanxessの日本法人ランクセスは2020年4月15日、オンラインで記者会見を実施。日本法人社長の張谷廷河氏が、2019年の業績や2020年の活動計画などについて説明した。
ドイツの特殊化学品メーカーLanxessの日本法人ランクセスは2020年4月15日、オンラインで記者会見を実施。同社代表取締役社長の張谷廷河氏が、2019年の業績や2020年の活動計画などについて説明した。
Lanxessはドイツ、ケルンに本社を置く大手特殊化学品メーカーで、2004年にドイツのBayerから化学品事業と高分子材料事業の一部を分離し設立。基礎化学品や精密化学品、添加剤、高性能樹脂およびウレタン、機能性化学品など幅広い製品を扱い、33カ国で事業を展開している。2019年度連結売上高は前年と同水準の68億200万ユーロ、特別項目を除いたEBITDAは前年比3.3%増の10億1900万ユーロ、EBITDAマージンは設立以来初の15%を達成したという。張谷氏は、「厳しい経済状況にも関らず成長軌道を維持できた」とコメントした。
日本では東京にオフィスを置いているほか、愛知県豊橋市にはゴム薬品の製造および水処理製品のカスタマーテクニカルサービスセンターを、兵庫県姫路市には皮革用化学品の販売及びマーケティングを行う拠点を設置。自動車、タイヤ、IT、電機/電子製造業界などの顧客に向けて製品を展開しており、2019年度の売上高は約3.1億ユーロを達成したとしている。
張谷氏は、グローバルでの2020年活動計画について、新部門の推進やクライメイトニュートラルに向けた活動のほか、「バッテリー技術分野における新用途開発」をしていくと強調した。
同社はバッテリー筐体に用いられる、プラスチックコンパウンドや電解液、バッテリー保護向けの難燃剤などを供給しており、張谷氏は「Lanxessは、欧州でフッ化水素酸とリン化学品の最強メーカーであり、バッテリー技術に特化した研究開発部門をもつ有数のグローバル難燃剤メーカーだ」と説明。さらに現在カナダのStandard Lithiumと共同でリチウム抽出のための共同開発に取り組んでいることを紹介した。
両社は、米国アーカンソー州エルドラド拠点で、かん水から電池グレードのリチウムを直接回収し商業生産を行うための計画を進めている。2020年3月初旬にはパイロットプラントがテスト稼働しており、2020年半ばには最初の調査結果が報告される予定だという。
張谷氏は、「Lanxessが既に提供している製品にリチウム化学品が加わることで、さらにポートフォリオが強化される」と説明。またエルドラド拠点では日々数百万リットルのかん水を処理しており、「原材料がいくらでも出てくるという競争力も強みとなる」とも強調。これらの強みを生かしながら、電気自動車(EV)用バッテリー市場などで拡大を図っていく方針だという。
日本における2020年活動計画については、自動車や機械、電子機器など幅広い製造業向けに採用される難燃剤分野の強化や、EVなどのニューモビリティ分野向けの製品ソリューション提供を推進することを紹介した。
難燃剤市場について同社は、火災予防規制の強化や、金属代替材料として樹脂の需要が高まることに合わせた需要増などから、年間平均成長率3〜4%と予想。「マーケットの需要に対応した技術革新を推進していく」とした。また、ニューモビリティ分野では、軽量化に向けたサポートに注力。ガラス繊維で強化したポリアミドベースのハイブリッド成形用樹脂「Durethan」や、ポリブチレンテレフタレートベースの「Pocan」、連続繊維で強化された熱可塑性コンポジットシート「Tepex」などを展開していく方針としている。
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