ディープラーニングを手掛けるLeapMindは2020年4月17日、同社が開発中の超低消費電力AI(人工知能)推論アクセラレーターIP(Intellectual Property)について、性能見積もりの結果を発表した。【訂正あり】
ディープラーニングを手掛けるLeapMindは2020年4月17日、同社が開発中の超低消費電力AI(人工知能)推論アクセラレーターIP(Intellectual Property)について、性能見積もりの結果を発表した。この結果は、IEEEが主催するコンピュータの国際学会「COOL Chips 23」(2020年4月15〜17日/オンラインで開催)の基調講演に同社CTOの徳永拓之氏が登壇し、公表したもの。
具体的には、台湾Alchip Technologies(アルチップ・テクノロジーズ、以下Alchip)が設計するASICにLeapMindのIPを実装。シリコン実装時の性能の指標であるPPA(Power, Performance and Area/消費電力・性能・面積)の見積もりを出した。
その結果、消費電力(標準条件)は27.7TOP/W、性能は6.55TOPS/秒(800MHz時)、シリコン面積は0.442mm2となった。この性能見積もりにより、LeapMindが従来開発対象としてきたFPGAだけでなく、ASICに対しても同社の技術が有効であることが確認できたとしている。なお、見積もりに当たりLeapMindとAlchipはメモリ構成などを検討し、複数構成でのレイアウトでトライアルを実施したという。
【訂正:2020年4月22日 8:20 当初、シリコン面積を「0.245mm2」と記載しておりましたが、LeapMindよりプレスリリースの記載が誤っていたとの申し入れがあり、「0.442mm2」と訂正しております。下記の図版も併せて差し替えました。】
LeapMindは、今回の性能見積もり結果に基づき、AI推論アクセラレーター回路のさらなる性能向上と電力効率改善を図っていく。今回の性能見積もりでは、特別なセルライブラリやメモリを使用しておらず、省電力の実装手法も用いていないので、実装における電力効率改善の余地は大いにあるとする。
例えばAlchipの設計技術を取り入れることで、スタティックおよびダイナミック消費電力の予測、削減とともに、クロックゲーティング手法や複数の電源電圧に対応した領域分割を行うことで、電力をさらに削減することが可能だという。
2012年に設立されたLeapMindは、エッジデバイスでもディープラーニングを動作できるように、ニューラルネットワークを大幅に軽量化する「極小量子化」技術などを開発している。極小量子化は、例えば32ビット浮動小数点から8ビット整数へ量子化するという、現在主流のものをさらに進めて、重み係数を1ビット、アクティベーションを2ビットに量子化する。LeapMindは、この極小量子化を使ったディープニューラルネットワーク専用回路の設計も行っている。設立以降、約150社とのプロジェクトを推進し、エッジデバイスでのAI実装を目指した案件を多く手掛けている。
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