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パンデミック克服ではIoTが主導的役割を果たすセキュリティの課題は残るが(2/2 ページ)

» 2020年05月11日 12時00分 公開
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セキュリティへの懸念

 IoTにおける議論は、セキュリティとプライバシーへの対処がなければ完結しない。実際、デバイスとデータのセキュリティは依然として問題になっている。これが、医療提供者がバックエンドシステムにIoTを導入し、IoMT(Internet of Medical Things)という新たなフロンティアを実現することに対して慎重になっている理由だ。

 ウェアラブルな医療センサーが、常に自分の健康状態に関する情報を収集していることに対して、患者が神経質になるのは当然のことだ。さらに、特にパンデミック/クラスター発生時における接触者追跡の場合には、データのプライバシーが重要な問題となる。先述したような、Bluetoothタグを使った場合、収集したデータは一体誰のものになるのか。この、極めてセンシティブなデータは誰がどの程度までアクセス可能になるのか。それも考えなくてはいけない。

 IoTのプライバシーとセキュリティの脆弱性は、同技術を医療業界が本格導入する前に対処しなくてはならない課題だ。そして、法律、経済、医療、技術の各分野が一丸となって取り組む必要があるだろう。

 技術的な観点から見れば、ハードウェアやソフトウェアのデバイスをハッキングから保護するための多数のイノベーションは既に存在している。例えば、Silicon Labsの「Secure Vault」技術は、個々のワイヤレスチップに対し、“出生証明書”のような固有の署名を生成する。これは、チップで行われる演算は、IoTサービスのプロバイダーのみが利用可能になり、クラッカーの攻撃を防御することを意味する。一方で、プロバイダーが個人データをどう扱うかについて、ユーザーの信頼を確立することは依然、課題として残っている。

 IoT技術は、現在および将来のパンデミックの予防と管理をサポートする上で、先導的役割を担う。大規模に展開されたIoTは、パンデミックに直面した際、前例のない規模のデータと分析を人類にもたらす。これによって、より効率的に感染拡大を防止することができるようになるだろう。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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