5月17日に行われたチュートリアル「PART I - 3D NAND」のトップバッターとして、キオクシアのNoboru Shibata氏が、“History and Future of Multi-Level-Cell Technology in 2D and 3D Flash Memory”の講演で説明したNANDの歴史を図9に示す。
Shibata氏は、NANDの多値化に焦点を当てており、図9は、2値(MLC)、3値(TLC)、4値(QLC)が、どのような微細性(3次元の場合は多層化)で、どのようなメモリ容量のチップでリリースされたかを示している。
メモリ密度の増加のトレンドは、2009年の32nm以降、いったんスローダウンするが、2016年から3次元に移行すると、再び、増加のトレンドが上向いていることが分かる。従って、3次元化したNANDが、今後も、メモリ密度を増大させることに期待が集まる。
図10は、キオクシアと同じ四日市工場でチップを製造しているWDのYan Li氏が、Shibata氏の次に“3D NAND Architecture and its Application”の講演で説明した31年間に及ぶNANDのスケーリングの全貌を示している。
1987年にIEDMで発表されたNANDの微細性は1μmだった。この発表者は、恐らく、NANDの発明者である舛岡富士雄氏であろう。翌1988年に1μmで4MビットのNANDが製造され、1992年には0.7μmで16Mビットが発表されている。この辺りから、東芝でNANDの事業が立ち上がり始めた。
その後、微細化と高集積化が推進され、2014年には1Znm(恐らく15nm)で128GビットのNANDがリリースされる。しかし、それ以降は隣り合うメモリセル同士のクロストークが起きるため、2次元の微細化は断念し、2015年からは3次元の時代にパラダイムシフトする。そして、微細化の代わりに縦方向に、より多数のメモリセルを積み重ねる“多層化”が新たなスケーリングとなる。
その多層化は、48層、64層、96層と1.5倍の割合で積層化が進み、次は約1.2倍の112層の製造を予定していることが分かる。
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