車載モーターの世界市場は、2018年の約32億個に対し、2030年には約56億個規模に拡大する見通しだ。矢野経済研究所が調査した。
矢野経済研究所は2020年6月、車載モーターの世界市場を調査し、将来展望などを発表した。調査レポートでは2018年の約32億個に対し、2030年には約56億個規模に拡大すると予測した。
今回のレポートは、次世代自動車(xEV)に搭載される主機モーターから、既存のスタータやパワーシート、電動ブレーキなどに用いられるモーターまで、乗用車や小型商用車(車両重量3.5t以下)に搭載されるさまざまなモーターを対象とした。調査は2020年2〜5月に実施した。
世界の自動車販売台数は、米中貿易戦争などを背景に2018年や2019年はマイナス成長となった。2020年も新型コロナウイルスの影響などで、自動車市場はさらに減速する見通しである。こうした動きは、車載モーター市場にも大きな影響を与えているという。
こうした中で、開発が進むxEVや内燃機関車(ICE)において、パワートレインやシャシー、ボディーなどで電動化が進んでおり、モーターの搭載個数は増加している。
今回の調査で同社が注目したのは、「Eアクスル」と呼ばれる電動駆動システムの動向である。エンジンの代わりとなるもので、主機モーターとインバーター、減速機を一体化した製品。既に、モーターやインバーターなどを平行に配置する「平行軸型」や、同一直線上に配置する「同軸型」が提案されている。また、出力帯として「150kW級」を中心に、「50kW級」や「200kW級」などが用意されているという。
現状では、販売される自動車のほとんどがICEである。xEVが本格的に市場拡大を見せるのは2025年以降と予測する。この結果、xEVの販売台数は2030年に1787万台と推定。これに伴いEアクスルの需要も本格化するとみられ、2030年の車載モーター市場を56億6300万個と予測した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.