2019年のLiB主要4部材市場規模は、前年比15.2%増の226億6166万2000米ドルとなる――矢野経済研究所が市場調査し発表した。
矢野経済研究所は2019年12月、リチウムイオン電池(LiB)の主要4部材について世界市場を調査し、用途別や市場別の動向などを発表した。これによると、2019年のLiB主要4部材市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、226億6166万2000米ドルを見込む。前年に比べ15.2%の増加となる。
同調査は、自動車の動力源やスマートフォンなどの電源として搭載されるLiBに用いられる主要4部材(正極材、負極材、電解液・電解質、セパレーター)を対象とした。調査期間は2019年4〜10月で、日本や韓国、中国および欧州などのLiB部材メーカーにヒアリングした。
調査結果によると、2018年のLiB主要4部材の世界市場は196億6742万4000米ドルで、前年に比べ34.2%と大きく伸びた。車載用LiB市場がけん引する。特に中国市場はこれまで、補助金政策で拡大してきたが、2019年より環境規制が施行され、外資系自動車メーカーも電動車を拡充したことが、需要増につながったとみている。
欧州でも乗用車のCO2排出規制が2021年より実施される予定である。これを受けて2020年前半までは電動車の需要が拡大し、主要4部材の需要も拡大が続くと予測した。
民生機器向け小型LiB市場は、スマートフォン向けが前年実績を下回るが、電動工具や電動バイク向けの動力系セル、Bluetooth対応のイヤフォンやスピーカーなどオーディオ機器関連で需要の拡大を見込む。このため、2019年以降も成長が続くと予測した。
LiB主要4部材の出荷数量を国別に調べた。引き続き中国部材メーカーの構成比率が圧倒的に高い。正極材で63.6%、負極材で74.0%、電解液で69.7%、セパレーターで56.7%をそれぞれ占めているという。2020年までは中国勢が優位性を保つとみている。
2021年以降は、中国の電動車市場もこれまでの補助金主導からマーケット主導に切り替わることが想定され、外資系自動車メーカーのシェアが拡大すると予想する。これによって、「中国部材メーカー以外からの調達が増える」と分析している。
日本勢はセパレーターこそ30%台の構成比を維持しているが、その他の部材は十数パーセントから二十数パーセントの範囲にとどまっている。今後は欧州や日系の自動車メーカーに向けたLiBセル需要が増え、日系部材メーカーの出荷量も増える見通しだ。韓国勢は、自国のセルメーカーを中心に民生小型セル向け部材を供給してきた。今後は欧州自動車メーカーに対して、存在感を高めていく可能性があるとみている。
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