さらに、フォトニック結晶レーザーと一般的なブロードエリア半導体レーザーを搭載したLiDARシステムをそれぞれ製作し、遠方でのビームスポットを比較した。フォトニック結晶レーザー搭載のLiDARシステムは、レンズなしでもビームの広がりが小さく、高い分解能が得られた。これに対し、ブロードエリア半導体レーザー搭載のLiDARシステムは、ビームの広がりが大きく、分解能が低下した。
フォトニック結晶レーザー搭載のLiDARシステムを用い、リアルタイムで人物測距の実験も行った。この結果、2人の動作や移動する様子などを詳細に捉えられることを確認、フォトニック結晶レーザーの有効性を示した。
今回は、フォトニック結晶レーザーの光出力をさらに増大するための可能性も検討した。発振面積を直径1mmに拡大し、2重格子フォトニック結晶の構造も、空孔の形状に加えて、その距離も精密に制御した。この結果、最大70Wのピーク出力で、高いビーム品質の動作を実現した。これは100mを超える光測距が可能になる値だという。
今回の実験では、フォトニック結晶レーザーから出てきたビームを、機械式ミラーで走査した。今後、電気的に2次元ビーム走査可能なフォトニック結晶レーザーの開発にも取り組む予定である。
なお、LiDARに搭載可能なフォトニック結晶レーザーは、京都大学光・電子理工学教育研究センター内に設置された光・量子拠点より、MTA(Material Transfer Agreement)を介して、第三者にも提供するという。
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