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スタートアップがひしめくAIチップ市場の現状合理化が始まるのか?(1/2 ページ)

AI(人工知能)チップ市場は現在、“深層学習が全て”という状態にある。深層学習は、実世界の中でAIアプリケーションを役立てるという機械学習の枠組みの中で、最も成功している分野である。

» 2020年08月13日 11時30分 公開

 AI(人工知能)チップ市場は現在、“深層学習が全て”という状態にある。深層学習は、実世界の中でAIアプリケーションを役立てるという機械学習の枠組みの中で、最も成功している分野である。

 AIチップ市場では、深層学習を加速させることが全てだ。加速させる必要があるのは、トレーニングと推論である。AIチップ市場では、プレイヤーの数が爆発的に増加しており、最近発表された調査レポートによると、世界全体で約80社の新興企業が、計105億米ドルの資金提供を受け、約34社の既存プレイヤー企業との間で競争を繰り広げているという。

 このような状況は明らかに持続不可能だといえるが、AIチップ市場を詳細に分析することにより、なぜ現在このような状況になっているのか、今後どのように変化していく可能性があるのか、こうした状況が何を意味しているのかなどについて、より良く理解する必要があるだろう。

GPUでAI市場を後押ししたNVIDIA

 NVIDIAが2010年に、GPGPU向けにハイエンドの汎用コンピューティングを発表した当時までさかのぼって見てみよう。GPGPUは、今でいうGPUである。それまで大規模ニューラルネットワークのトレーニング時間は、数週間から数カ月間かかっていたが、GPUの登場によって、数時間から数日またはそれ以下にまで短縮され、深層学習の台頭を後押しする形となった。

 NVIDIAはAIコンピューティング企業として、新たに数十億米ドル規模のビジネスを成長させた。これを受け、他の半導体チップメーカーやチップアーキテクトが、全く白紙の状態からスタートして、AIワークロードを動作させるための専用アーキテクチャを構築する方法や、多様なワークロード向けに開発されたGPUよりも優れた性能を実現するための方法について検討するようになった。AIワークロードは現在、単純に深層学習を実行することを意味する。ここに需要が存在するのだ。

 しかし、需要は変化する。AIトレーニングは、そのほとんどがデータセンターやワークステーションなどで実行されるのに対し、AI推論は、クラウドやワークステーションなど、あらゆる場所で実行することが可能だ。特に最近はエッジで実行する、いわゆる組み込みAI、エッジAIなどが求められるようになっている。

AIアクセラレーターにおける市場セグメント 出典:Kiasco Research
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