Intel/Mobileyeが2017年に学術論文として発表した、安全性確保のための数式モデル「RSS(Responsibility-Sensitive Safety:責任感知型安全論)」を覚えているだろうか?
このコンセプトを立ち上げた後、IntelはRSSをIEEEに提供した。そのフレームワークは、自動走行車の安全な意思決定に関するIEEE標準をめぐる議論の起点となった。Weast氏は「RSSは、自動車が取るべき適切な反応に伴う安全性の限界を定義する数式モデルである。RSSによって、自動運転車は、ドライバー(周囲の自動車のドライバーも含む)の過失によって事故が発生あるいは事故に巻き込まれるのを防ぐことができる」と説明した。
要するに、ボウリングで、レーンにバンパーを設けることでガターを防ぐように、RSSは自動運転車が事故に遭わないよう回避させていくのである。
自動運転車の支持者らは、自動運転がいかに多くの人々の命を救えるかを主張するのに忙しい。だが、そのような人々は認めるべき功績を十分に認めていない。基本的に、人間は非常に優れたドライバーである。直感的に想定し、常識を働かせ、潜在的に危険な状況に対して適切に反応する。一方、自動運転車には、直感が欠けている。
RSSは、何が危険な状況を作り上げているのか、その原因は何か、どのようにそれに対処すべきかを定義することで、マシンがそうした人間による想定と“暗黙の”交通ルールを解釈できるようにするための試みである。数式は、安全距離はどれくらいか、慎重に運転するとはどういうことなのかを、マシンのために定義しているとWeast氏は説明した。
ドライブポリシー(運転の方針)が標準化の議論の焦点になっていることを考えると、各社はどのように導入していくのだろうか。
例えば、RSSを他社の自動運転ソフトウェアスタックに実装することは可能なのだろうか。
Intel/Mobileyeは、Weast氏が議長を務めるIEEE P2846にRSSを提案している。同氏は他社も安全モデルを提供していると説明する。RSSは技術的に中立なものであるため、「特定のチップやセンサーを使用しなければならないという要件はない」とWeast氏は述べる。
一方で、「IEEE規格に準拠した独自の安全モデルを構築することは十分に可能だ」と同氏は付け加えた。
【翻訳:青山麻由子、滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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